発展途上国にはアレルギー患者が非常に少なく、1960年ごろの日本にもアレルギーはほとんどありませんでした。

日本は戦争から60年かけて衛生環境を清潔に保ち、生活レベルを向上させてきた結果、乳児死亡率は世界一低い国になりました。

衛生環境が向上する一方でアレルギー体質は増加

環境が清潔になった反面、私たちの体はアレルギー体質に変わってしまいました。
 
1984年に東京杉並区で住民に行った「スギ花粉に対する抗体保有率の年齢別調査」の結果、戦前生まれの人にはほとんどアレルギーが無く、戦後生まれの人にアレルギーが明らかに多かったのです。
 

 
1970年にアレルギー体質保因者(ダニ/スギに対するIgE抗体陽性率)は10%以下でしたが、2000年には80%以上に達しています。
 
こういった話を聞くたびに、私は「清潔・殺菌・抗菌・除菌」という現代の風潮に疑問を感じてしまいます。
 
「不潔にしろ」といっているわけではありませんが、身体の表面をあまりにも洗浄してしまうのは弊害もあるのではないでしょうか。
 
加えて防腐剤が入った食品が大量に流通し、それらの食品と無縁では生活できません。
 
東京医科歯科大学の藤田紘一郎名誉教授も「清潔志向があまりにも行き過ぎると良くない」という主旨の主張をされています。
 
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藤田教授は「昔の生活様式への回帰を」ともよく言われます。
 
いわゆる「昔の生活様式」のほうが、アレルギー系の疾患は少なかったことを考えると、藤田教授の主張には説得力があります。
 
私も基本的に賛成しています。(藤田教授のように体内に回虫を飼うのはかなり厳しいですが・・・)