卵は「完全食品」と呼ばれるほど栄養に富んでいます。
しかし卵の組成についてネットで調べると、
「白身にはアビジンが含まれていて、抜け毛や肌荒れの原因に云々・・・」
といった主張があるため、「白身は食べないほうがいいのかな?」と考える方もいるのではないでしょうか。
卵の栄養 黄身・白身で成分の違い
卵白には確かにアビジンが含まれていますが、を気にする必要があるのは毎日10個以上長期間食べ続ける、といった極端な場合だけです。
”普通に”食べていれば、まず無視していいレベルです。
雑誌「わかさ」2015年10月号(Amazon)を参考に、黄身と白身の栄養についてもう少し詳しく見てみましょう。
それぞれに含まれている栄養を以下に比較します。
横に * がついている栄養素は、他方には全く含まれていない栄養素です。例えば脂質や鉄、亜鉛などは白身には含まれていません。
■黄身に多い栄養
脂質* カルシウム リン 鉄* 亜鉛* ビタミンA* D* E* K B1*
■白身に多い栄養
タンパク質 ナトリウム カリウム マグネシウム ビタミンB2 ナイアシン*
(雑誌「わかさ」2015年10月号67ページ八田一教授の栄養調査表より)
どちらにも多様な栄養素が含まれており、卵の完全食品ぶりがわかります。
白身を食べないとなると、白身に含まれる栄養素を摂取しないことになります。これはちょっともったいなくないですか?
白身は脂質はゼロなのにたんぱく質は黄身より多いので、ボディビルダーにはうってつけです。白身の摂取を習慣にしているビルダーもいるそうです。
白身の食べ方 より栄養に気を遣って
卵白のアビジンがどうしても気になるなら、さらに念を入れて、
黄身と白身を分け、黄身は生or加熱、白身は加熱して食べる
という手間をかければ、完璧です。
黄身のビオチンと卵白のアビジンは、生の状態で混ざると結合してしまい、「相殺」する作用が働きます。
ただし、白身が白くなるまで加熱すれば、アビジンはビオチンと結合できなくなります。対してビオチンは、熱を加えられても性質は変化しません。
なので、生では黄身だけ食べ、白身はチャーハンや玉子とじに使う、といった手間をかければ、アビジンの弊害はほぼ100%避けられます。
あるいは、白身部分に火がとおった温泉卵や半熟玉子、目玉焼きでもOKでしょう。
「気にすることはない」と言いつつも、食事や健康においては気分も重要なのは事実です。自分が納得した食材・食べ方であれば、効果も、より強く発揮されるはず。
各自で工夫して、玉子を食べてみてください。
卵白の雑学 新しいはずなのに濁っているのはなぜ?
ところで、買ったばかりの卵の白身が、白く濁っていたことはないでしょうか?
一見すると「これ大丈夫かな?」と心配になりますが、実はこれ、新鮮な卵の証なのだそうです。
産まれたばかりの卵の卵白には、二酸化炭素が多く含まれています。二酸化炭素の量が多いほど、卵白が白く濁って見えるのです。
時間が経つと、卵の殻にあいている気孔から二酸化炭素が徐々に抜けていきます。すると濁りがとれていき、透明な水のような卵白になります。
一見するときれいですが、これは時間が経ってしまった結果なのです。
卵白に二酸化炭素が含まれているのは、卵の鮮度を保つためだと考えられています。流通している食品にも、二酸化炭素を封入して包装する技術があります。白身の二酸化炭素もこれと同じ原理なのです。
新鮮な卵なのに、白身が曇ってた!と驚かず、新鮮なのだと喜んで食べましょう。