うつを改善させる手段として、呼吸法がしばしば挙げられます。

深い呼吸をするとリラックスするのは誰でも実感しますが、それがうつになぜ効果的なのでしょうか?

セロトニンの量を増やすのがうつ改善薬

帯津良一氏の著書「ゆっくり呼吸で病気は治る!」によると、その秘密はセロトニンにあるようです。
 
深い呼吸をすると、セロトニンの分泌が促進されます。
 
同書巻末に収録されている、東邦大学医学部 有田秀穂教授の解説を抜粋します。

脳内物質としては、ドーパミンとかノルアドレナリンがよく知られています。
 
ドーパミンもノルアドレナリンも、意欲を高めたり集中力を発揮させたりという重要な働きをしています。
 
しかし、それが過剰に働くと、ドーパミンだと依存症、ノルアドレナリンだと不安神経症やパニック障害などになるというさまざまな弊害が出てきます。
 

 
それをコントロールしているのがセロトニンです。
 
つまり、オーケストラの指揮者のような存在で、脳全体のバランスをとるというのがセロトニンの役割です。
 
もう少し細かくいいますと、セロトニンには5つの作用があります。
 
1つめがクールな覚醒です。脳を、人間にとってもっとも適度な覚醒の状態にします。
 
2つめが平常心の維持、3つめが交感神経の適度な興奮、4つめが痛みの軽減、5つめがよい姿勢の維持です。
 

セロトニンはうつ改善以外にも効果を発揮します。

セロトニンが不足すると、さまざまな病気が起こってきます。代表的なものだとうつ病ですね。
 
これは精神科の先生も心療内科の先生も異論がありません。
 
なぜなら、うつ病の患者さんに出されるSSRIという薬は、脳の中のセロトニンの量を上げる薬だからです。片頭痛の薬もセロトニンと関係しています。
 
あと、不眠症とか、摂食障害、パニック障害、慢性疲労症候群など、セロトニンが効果的だということがわかっています。
 
しかし、できれば薬だけに頼るのではなく、呼吸法などセロトニン神経を活性化させるような方法を併用しながら治療していくと、回復も早いと思います。
 

 
ゆっくり呼吸で病気は治る!(Amazon)」207~208ページより

セロトニンは呼吸法により意図的に増やすことができます。
 
具体的なやり方を紹介します。

セロトニンを増やす呼吸法のやり方 特定のイメージ

呼吸法がうつに効果的なのは、単に気持ちが落ち着くから、というだけではありません。
 
上で紹介したように、深い呼吸により分泌が促進されるセロトニンには、うつを改善させる作用があるのです。
 
「ゆっくり呼吸で病気は治る!」には、そのための呼吸法が紹介されています。
 
動作は簡単で覚えやすいので、ちょっとした空き時間にでも実践してみてください。

1 手のひらの下に風船があるイメージ
 
・両足を肩幅に開き、腕を上げて手のひらを下に向けます
 
・手のひらの下に風船が浮いていて、それが手を押し上げているとイメージします
 
2 息を吸いながら手を上げる
 
・息を吸いながら、手を上げます 風船は手と一緒に上がっていくイメージです
 
3 息を吐きながら風船を下げる
 
・肩の高さまできたら、息を吐きながら風船を押し下げます
 

 
呼吸法は、いつでもどこでも実践可能で、お金もかかりません。
 
自分なりの方法を確立しておけば、健康維持に貢献してくれます。
 
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