「痛風は男性に多い」「女性は骨粗しょう症になりやすい」など、性別でかかりやすい病気があるのはよく知られています。
私もこれくらいは承知していたのですが、「男と女でこんなに違う生活習慣病(Amazon)」を読んで驚きました。
こうした違いは多岐に渡っているのです。
病気リスクの男女差 心筋梗塞や糖尿病 うつ病
性別と病気リスク差の一例を挙げます。
・タバコを吸う女性は、吸わない女性より心筋梗塞になるリスクが8倍高い
・糖尿病の男性は、糖尿病でない男性より心筋梗塞になるリスクが3倍高い
・糖尿病の女性は、糖尿病でない女性より心筋梗塞になるリスクが6倍高い
「喫煙」と「糖尿病」という同じ要因でも、性別で心筋梗塞のリスクに差が生まれるのです。
心筋梗塞を発症すると、男性に最も多い自覚症状は胸痛ですが、女性は胸痛が表れないことがあります。代わりに腹痛、嘔吐、胃もたれなどが起きるのです。
そのため、誤診の原因となるとこともあります。(14~19ページ)
その他、男女ではこのような違いがあります。
・心筋梗塞の発症リスクは男性のほうが高いが、心筋梗塞で入院中に死亡するのは女性が多い
・最初の発作で三分の一の人が死に至るくも膜下出血は、女性に多い
・男性の心筋梗塞を起こす最大の危険因子が高血圧であるのに対し、女性の場合は喫煙である
・タバコを吸う男性は、吸わない男性より脳血管疾患になる危険性が1.3倍高い
・タバコを吸う女性は、吸わない女性より脳血管疾患になる危険性が2倍高い
・糖尿病は男性に多く、予備軍は女性に多い
・骨粗しょう症の女性患者数は男性の3倍である
(61~63ページ)
女性ホルモン減少の影響 痛風と骨粗しょう症
痛風にかかるのは98.5%が男性で、女性は1.5%なのだそうです。女性に少ないのは、尿酸を体外へ排出する働きが女性ホルモンにはあるからです。
そのため、女性ホルモンが減る更年期以降は、女性も痛風が増えてきます。
骨粗しょう症が女性に多いのも女性ホルモンが関わっています。
女性ホルモンは骨からカルシウムが遊離していくのを防ぎますが、更年期になって女性ホルモンの分泌量が減るとその作用が弱くなるため、骨量がどんどん減っていくのです。
「男と女でこんなに違う生活習慣病」を読んでみて、病気リスクと性別については
男性は30代くらいの比較的若い年代から様々な病気リスクが高めなのに対して、女性はある程度年齢が進むとリスクが急に高くなる。
という印象を受けました。
女性の場合、閉経後は特に要注意です。
何らかの病気が多い家系の人は、生活習慣に加えて性別と年齢も考慮に入れてみてはいかがでしょうか。