アメリカの対がん政策は着実に効果を上げているようです。
 
07年10月15日に米国がん協会が発表した調査報告によると、02~04年のがん死亡率は年間平均2.1%低下しました。
 
1%あたり5000人にあたるので、年間1万人以上の人が、がんによる死亡をまぬがれた計算になります。
(この記事は2007年に作成しました)

アメリカでは1970年代から「ヘルシーピープル」というガン対策国家プロジェクトを進めています。
 
その結果アメリカでの心筋梗塞の年間死亡率は三分の一になり、ガンの死亡率は94年から減少が続いているのです。
 
「ヘルシーピープル」で心がけられたのは、
 
・喫煙をしない
・野菜を一日350グラム以上摂取する
・これまでより一日あたり千歩多く歩く

 
といったことです。
 
日本でも喫煙率は下がっているようですが、女性の喫煙率はあまり下がっていないのではないでしょうか。
 
私個人の印象としては、タバコを吸う女性はむしろ増えているという感じです。
 
アメリカでは10年以上前からがん対策にさらに力が入れられ、マンモグラフィーの普及や適切な治療、スクリーニング検査技術の向上などが奨励されました。
 
これらの政策により、93年~02年までのがん死亡者年間低下率は1.1%でしたが、今回は低下率がほぼ2倍になり、大幅に改善されました。
 
しかし、アラスカの原住民やネイティブアメリカンの人々には目立った改善は認められませんでした。

ポーリング博士 ビタミンCによるがん治療の曲折

ビタミンCは様々な効果を持っており、人体には欠かせない栄養素です。
 
私はビタミン類の中でも特に注目していて、不足しないように常に気をつけています。
 
ビタミンCはがんに対する作用も注目されていて、「ビタミンCでがんを治療する」代替医療は特にアメリカで盛んに行われています。
 
ビタミンCの抗がん作用がアメリカで注目されるようになったのは、ノーベル賞を受賞している生化学者ライナス・ポーリング氏の研究がきっかけです。
 
ポーリング氏はイギリスのがん外科医ユアン・キャメロン氏と協力して、末期癌患者にビタミンCを点滴及び経口投与するという治療を始めます。
 
両氏は1970年代にガンとビタミンCに関する多くの論文を発表し、「癌とビタミンC」という一般書も書いています。
 
しかしその後この治療法に対する検証が第三者により行われた結果、ビタミンCがガンの治療に有効という確証は得られませんでした。
 
ポーリング氏は反論しましたが、世間のビタミンC治療に対する不信感が払拭されることはなく、がんのビタミンC治療は一気に下火になったのです。
 
ところがポーリング氏の死から12年ほど経った2006年、高用量ビタミンCの効能に関する調査結果がカナダの研究グループによって発表されました。
 
同グループの研究結果によると、高用量ビタミンCを点滴投与したがん患者は、予想よりも生存期間が長くなったのです。
 
また08年には「ビタミンCの大量投与により、マウスのがん細胞の増殖を半分に抑えることができた」と米国立衛生研究所(NIH)の研究チームが発表しています。
 
現在は日本でもビタミンCによるガンの代替治療は行われています。
 
ただし多量のビタミンC摂取には副作用があるとも言われていますし、「ビタミンCは抗がん剤の作用を弱める」という報告もあります。
 
健康に関しては全てそうであるように、ビタミンCによるガンの代替医療を行う場合はプラス面と同時にマイナス面も把握しておく必要があるでしょう。