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花王「エコナ」回収・販売自粛の件 ネットで情報を集める重要性

2009年の9月、花王が自社の「エコナ」関連製品を回収し、販売自粛を決定しました。
 
読売オンライン
「エコナ」関連商品も販売自粛
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090919-OYT8T00423.htm
(現在この記事は削除されています)
 
 
「グリシドール脂肪酸エステル」を多く含む製品が対象で、およそ60品目に上ります。「エコナ」を使った他社製品も販売自粛・回収されています。
 

この「グリシドール脂肪酸エステル」は、発がん性が疑われる物質に変化する可能性が指摘されていて、
 
「油脂の製造工程における一般的な脱臭の過程で副生される物質」
 
です。この安全性についてはヨーロッパを中心に議論されています。
 
 
この件について、花王からの発表がありました。
 
第一報
エコナ製品の販売自粛について 
http://www.kao.com/jp/corp/important/20090916_002.html
 
第二報
http://www.kao.com/jp/corp/important/20090916_003.html
 
 
発表によると、発がん性など安全性への懸念材料は科学的に根拠のあるものではなく、現在回収されているエコナ製品も「安全性に問題は無い」とのこと。
 
安全性に問題は無いのになぜ販売自粛するの?という話になりますが、これは上の「第二報」によると「消費者の不安を取り除くため」なのだそうです。
 
メールや手紙での問い合わせ先はこちらの「第三報」に紹介されています。
 
第三報
http://www.kao.com/jp/corp/important/20090916_004.html
 
 
ちなみにこのエコナの件についてはNHKでも報道されましたが、何と内容に誤りがあったそうです。
 
花王からの第四報
NHK総合テレビ放送における、エコナの安全性に関する報道について
http://www.kao.com/jp/corp/important/20090916_001.html
 
上の「第四報」によると、同年9/18(金)のNHK「スタジオパーク」において「エコナを投与した実験で、野生ラットの舌にがんが見つかった」と解説されましたが、このような実験結果は確認されていません。
 
NHKもこの点は誤りであったことを認めているそうです。NHKは放送する前にどういう確認をとったんでしょうかね?これはとんでもない誤報だと思うのですが。
 
 
ここまで発表された内容を読んで、私なりに花王の主張をまとめてみると・・・

「エコナ製品は『グリシドール脂肪酸エステル』の含有量が一般の油より多くなっています。
 
『「グリシドール・・・』の危険性は科学的に証明されているものではありませんが、欧州では安全性に関する議論もあり、消費者が不安を感じることも考えられます。
 
そのため、含まれる『グリシドール・・・』の量が一般食用油と同じレベルに下がるまで、エコナ製品の販売を自粛します」

・・・といったところでしょうか。
 

 
今回の件でショックを受けた方は多かったはずです。値段がやや高めとは言え、エコナ製品はかなり人気があったようですし。
 
私自身はどうかというと、自宅では油をあまり使わないのでエコナを購入したことはありませんでした。揚げ物は全くと言っていいほど作らないので、油は適当なサラダ油かオリーブオイルを使ってます。
 
食べて悪い油 食べてもよい油 (レビューあり)
食べて悪い油 食べてもよい油 (静山社文庫)
 
「こういう話があります」として、エコナの件に関する情報を送って下さったメルマガ読者さんがいらっしゃいました(Nさん、ありがとうございます)。
 
 
Nさんのメールでは、こちらのブログが紹介されていました。
 
ぷろどおむ えあらいん
エコナはどのくらい危険なのか
http://preudhomme.blog108.fc2.com/blog-entry-117.html
 
化学を専門にしている方のブログです。非常に専門性の高い言葉も使われていて、実は私も理解できない部分がありました。
 
それでもどうにか内容をまとめてみると、

・花王は良心的な会社であるとは言えるだろう
 
・一方で「反応性の高さ(これはNさんからのメールにも指摘がありました)」や「吸収されるであろう量」など、警戒すべき要素は確かにある

といったことになると思います。(間違ってたら指摘お願いします)
 
 
しかし、上の「ぷろどおむ えあらいん」さんの記事にはコメントが寄せられています。
 
それは花王の対応に疑問を呈するものであり、ブログ主の「花王は良心的」という記述に異を唱えているのです。
 
 
その根拠のひとつに「花王はデータの公開を拒否している」というものがあります。
 
 
「食品安全委員会に提出される安全性の試験報告書は、閲覧はできるがコピーや写真撮影は禁止されている」そうで、Nさんから頂いたメールにも「一般消費者は見られない事になっています」とあります。
 
 
これに対して先の「ぷろどおむ」さんは、回答する形の追記事をエントリーされています。
 

 
その記事とはこちらです。
 
続・エコナはどのくらい危険なのか
http://preudhomme.blog108.fc2.com/blog-entry-118.html
 
これには、
 
「データのコピーを許さなかったのは、いわゆる『パクリ』を防ぐためで、現在では試験の詳細は論文になっていて、読むことができる」
 
のであって、いわゆる「隠蔽」ではないと紹介されています。
 
紹介した「ぷろどおむ」さんの二つの記事は内容が非常に濃く、この件に関心があるならじっくりお読みになることをおすすめします。
 
コメント欄も必読です。
 
 
ここで、Nさんのメールを改めて紹介します。
 
Nさんは生化学を専門に研究されている方で、化学物質の専門家です。メールの内容も非常に濃いものでした。
 
「エコナ」の危険性については早くから注目されていて、その指摘も具体的です。
 
 
Nさんのメールを要約・編集して引用させて頂きます。専門性も高く、「消費者側の意見」として参考になるのではないでしょうか。

「エコナの主成分ジアシルグリセロールはシグナル伝達に関わっている物質でもあるので腸管から吸収されるとき腸管の細胞内のシグナル伝達に影響を及ぼさないのか?という不安があります」
 
ジアシルグリセロールは発がん促進が(花王の実験でも)確認されている物質。
 
しかし
 
「他の油でもがんは発生する」→「ジアシルグリセロールだけが危険というわけではない」
 
という論理で市場に出されることになりました。
 
(中略)
 
この油にはかなり大量のトランス脂肪酸が含まれていたはずです(5%超だったと記憶)。

以上の内容を、当時発行していた私のメルマガで紹介したら、なんと「ぷろどおむ」さんからメールを頂きました!
 
その中で上のNさんの主張に対して異議を唱えられています。
 
 
まずは「ジアシルグリセロールは発がん促進が(花王の実験でも)確認されている物質」という点です。
 
 
ぷろどおむさんによると、ジアシルグリセロールの発がん促進性は確認されていないそうで、かなりの長時間にわたる調査を経た現在でも「発がんプロモーション作用を持つ証拠は無い」とされているそうです。
 
 
また、「エコナには5%超のトランス脂肪酸が含まれている」という情報も、ぷろどおむさんによると「現在は2~3%に抑えられています」とのこと。
 
こちらがその根拠となる資料で、11ページが該当箇所になります。
http://www.fsc.go.jp/senmon/tenkabutu/t-dai76/tenkabutu76-siryou1.pdf
(現在は削除されています)
 
 
この資料によると
 
「事業者から提出された資料によると、DAG油に含まれる油脂を構成する脂肪酸のうちトランス脂肪酸の占める割合は、原料や製造工程の見直しにより低減化が図られ、評価時点で日本及び米国において市販されているDAG油については2~3%程度で推移していると報告されている」
 
そうです。
 
DAGとはジアシルグリセロールのことで、DAG油はそのままエコナと考えて差し支えありません。
 
つまり、
 
「以前のエコナはトランス脂肪酸を5%超含んでいたが、現在ではトランス脂肪酸の量は2~3%にまで減っている」
 
と考えられるわけです。
 
 
また、花王はこうしたジアシルグリセロールについての追試験の結果を随時公表しています。
 
こちらの「平成21年9月2日 高濃度にジアシルグリセロールを含む食品の安全性について」がそれにあたります。
http://www.fsc.go.jp/senmon/tenkabutu/index.html
 
 
このエントリーを書いている時点では平成21年9月2日の第76回専門調査会会合結果までがアップされています。
 
 
アップされている内容のまとめとして、ぷろどおむさんのブログ記事をどうぞ。
http://preudhomme.blog108.fc2.com/blog-entry-120.html
 
DAG油の発がん性についての結論や、こうした「食品の安全性」に関わる記事の危険性にも触れられています。ぜひご一読あれ。
 
 
さて、ここまでかなり長いこと「エコナ」についてまとめてきました。
 
上に書いたように、私は「エコナ」を使ったことがありません。
 
しかし、私の感想をあえて言わせていただくなら、
 
やっぱり「エコナ」は使わないのが正解だった
 
といったところです。
 
 
「発がん」については、正直よくわかりません。これだけさんざん書いてきて、なんじゃそりゃ?と言われるのは承知していますが、ホントにこの心境なのです。
 
この件に限らず、健康問題を突っ込んで調べているとこうした心境に陥ることがしばしばあります。
 
 
立場が違ういくつかの意見や主張を考慮していると、どちらも正しい気がしてきて白黒の判断ができなくなるのです。(エコナの件であれば「花王側」と「消費者側」ですね)
 
 
私が「使わないのが正解」と感じたのは、発がん云々が理由ではありません。
 
トランス脂肪酸が含まれているためです。
 
発がん性の是非は私は判断しかねますが、トランス脂肪酸が含まれていたことは花王も認めています。
 
 
いまさら言うまでもありませんが、トランス脂肪酸は循環器系などに悪影響を及ぼすと指摘されていて、欧米では使用禁止が時流となっています。(日本では洋菓子などに使われて普通に流通していますが)
 
 
トランス脂肪酸が良くないのは私も実感しているので、やはり摂取はしたくありません。
 
となると、エコナは選択肢から外れるのです。
 
 
現代はネットで多くの情報を目にすることができます。いろんな立場から発信される情報を集めることが容易になっています。
 
 
これは言い換えるなら「それらの情報に惑わされる(私のように)ことも多くなり、各人の判断力が要求される」ことでもあります。最終的にどうするかは本人の判断によるしかありません。
 
(これは必ずしも「健康になるかどうか」ではなく、「本人が納得するかどうか」という問題なのかもしれませんが)
 
 
「エコナ」は回収されましたが、今後も似たような問題は起きるでしょう。食品だけでなく、健康食品でも。
 
そうした問題が起きた場合、企業は残念ながら隠ぺいすることもあります。そしてそのことをマスコミが伝えないことも結構な確率でありうるのです。
 
ここで紹介したような内容を、果たしてどれほどのマスコミが伝えたでしょうか?
 
 
安全性に疑いを感じたら、ネットも含めた様々な情報を集め、そのうえで判断を下しましょう。それがとりもなおさず自分の健康を守ることにもつながるのです。
 

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