むずむず脚症候群は、その病名のとおり「じっとしていると脚が気持ち悪くなる病気」です。
 
寝入りばななどに太ももやふくらはぎに不快な感覚が継続して発生します。「虫がはってているような」「むずがゆい」「何かでなぞられているような」といった感覚が特徴です。
 
まれに腕にも発症することがあります。
 
このコンテンツでは、むずむず脚症候群についてまとめています。




チェック項目と症状

チェック項目としては次のようなものがあります。

  • 下肢のムズムズする不快感と共に、脚を動かしたくてたまらなくなる
  • 脚をじっとさせていると動かしたくなる欲求が強く起こる
  • その欲求は、実際に動かすとやわらぐ

この不快感は脚を動かすことで軽くなりますが、動きをやめると再発してしまいます。
 
このため睡眠中に発症すると寝ていられなくなり、睡眠不足になって大変辛く、昼間に強烈な眠気を感じるようになります。
 

 
日中起きていても不快になるケースがあり、重症になるとイスに座れず、立ったままの生活を余儀なくされることもあります。
 
足を動かすと楽になることから、貧乏ゆすりと混同されることもあります。
 
上司との会話中に貧乏ゆすり(このケースではむずむず脚症候群が原因)が止まらず、態度が悪いと会社をクビになったケースまであります。




女性に多い 欧米と日本の有病率は

むずむず脚症候群は男性よりも女性に多いことがわかっています。
 
時間の経過と共に症状が悪化することもあり、女性の場合は妊娠を境に悪化することもあります。
 
子供にも発症するので、夜間は寝相が悪い、昼間は落ち着きが無い子供と判断されることもあります。
 
04年の欧米の調査では人口の2.5~15%の有病率が報告され、日本では1~5%ほどの有病率と考えられています。
 
以前は65歳以上の高齢者、人工透析を受けている人、妊娠中の女性、鉄欠乏性の貧血の若い女性に多いとされていましたが、最近は発症する人の裾野は広がっています。
 

むずむず脚症候群の原因と治療法 プラミペキソールを活用

病気に関して詳しいことはわかっていませんが、原因らしきものは判明しています。
 
まずは体内の鉄分不足です。
 
むずむず脚症候群の患者には鉄欠乏性貧血の人が多く、鉄分を補給すると症状が軽くなることがあるのです。
 
また、脳の神経伝達物質のひとつドーパミンの異常も原因とされています。
 
ドーパミンが不足することで起きるパーキンソン病の治療薬が、そのままむずむず脚症候群の治療薬としても使われています。
 
07年現在のところ根本的な治療法はなく、薬物による対症療法が主になります。
 
ベンゾジアゼピン系の抗てんかん薬や、パーキンソン病治療に使う「プラミペキソール」などの効果が認められ、06年に米国で追加適応の承認を受けています。
 

 
プラミペキソールは内服薬です。効果は非常に高く、治療奏効率は80%あり、しかも一回あたりの服用量は極めて少ないという優れものです。
 
寝る2時間ほど前に、1日1回内服します。
 
効果の高いプラミペキソールですが、吐き気などの不快感や眠気といった副作用があります。また妊娠している方には使用できません。
 
むずむず脚症候群では、症状が軽度の場合は
 
・カフェインやアルコールの摂取を控える
・喫煙をやめる
・睡眠を十分にとる
・ストレスを軽減する

 
といった対処により改善を図ります。
 
それでも症状が治まらず、進行するようであれば治療薬が適宜使用されます。
 
むずむず脚症候群は健全な睡眠を阻害するので、生活の質を低下させる原因となります。症状に悩まされているなら神経内科か睡眠障害外来を受診しましょう。
 
(「ムズムズ」するからと皮膚科を受診したり、痛み止めやかゆみ止めを使っても症状は改善しません)