ドライマウスはドライアイに比べると認知度は低いですが、患者は800万人いると言われています。
ドライマウスはその名のとおり、唾液の分泌量が少なくなって口が乾く病気です。
ドライマウスの症状や原因 治療法
「唾液が出にくい」というと地味な症状に思えますが、口の中は潤っているのが正常な状態であり、口が乾くのは実は深刻な状態です。
唾液には口内の洗浄・殺菌作用があるので、ドライマウスになると口のトラブルが多くなります。
次のように様々な症状が起きます。
・食べ物が飲み込みにくい
・乾いたものを食べるのが苦手になる
・話しにくくなる
・夜中口が乾いて眠れない
・舌がザラつく、痛む
・歯周病や虫歯が悪化する
・口臭がひどくなる
・口の中のキズが治りにくい
ドライマウスの原因には
・抗うつ薬、精神安定薬などの副作用
・唾液腺に障害がおきるシェーグレン症候群など
・抗高血圧薬や花粉症対策で使われる抗ヒスタミン薬など
・糖尿病や腎疾患の症状
・うつやストレス
・加齢
といったものがあります。
唾液の分泌量は20代がピークで、以後は徐々に減っていきます。
特に女性の場合、更年期に入って女性ホルモン量が減ると唾液の分泌量も減ってしまいます。
うつやストレス、薬の副作用が原因となっているケースもあります。
ドライマウスの治療には唾液の分泌を促す内服薬、スプレー唾液や口内に塗る薬などが使われます。
ガムやキャンディーにより唾液腺を刺激したり、保湿機能がついたマウスピースを口にはめることで夜間の乾燥を防ぐ、といった対処法もあります。
女性特有のドライマウスの原因 シェーグレン症候群
女性は「シェーグレン症候群」という病気がドライマウスを引き起こしているケースもあります。
シェーグレン症候群は自己免疫疾患のひとつで、自分の免疫が身体の機能を攻撃してしまう病気です。中年以降の女性に多く、男性にも発症しますが、女性の患者が男性より10倍以上多い病気です。
原因は遺伝やホルモンなどいくつか考えられていますが、はっきりしたことはわかっていません。
唾液や涙などを分泌するシステムに障害が出るのが典型的な症状で、目や口の乾き、さらには鼻腔内の乾燥が起きることもあります。
皮膚や筋肉、肺、関節など全身に症状が出るケースもあります。
ドライマウスと同時にドライアイも発症している場合はシェーグレン症候群が疑われます。
症状が出ている部位によって相談する医療機関も違いますが、歯科あるいは眼科で診察を受けましょう。
唾液を出すための心がけ・トレーニング
健康な人は一日に1.5~2リットルの唾液が出ます。
唾液の分泌量が少なく「ドライマウス」の症状になる人が増えています。
唾液の量は日頃の心がけやちょっとしたトレーニングを行うことで分泌量を増やせます。
以下にその方法をまとめます。
よく噛む 特に子供には重要 唾液腺の発達は15歳まで
まずは何といってもコレで、ひと口あたり20回は噛みたいところです。
その際は左右の歯でバランスよく噛むと口の左右両側の唾液腺を刺激できます。
子供に噛む習慣をつけさせるのは特に大事です。唾液腺の発達は15歳くらいまでで止まってしまいます。それまでに十分発達していないと、その後の健康にずっと悪い影響を及ぼすのです。
大人も子供も、ある程度歯ごたえのあるものを食べましょう。
話す時は表情を豊かに 唾液腺は顔の筋肉連動している
唾液腺は顔の筋肉全てに連動しています。
そのため、話して口を動かす、あるいは笑って表情を作るなどして顔の筋肉を動かすと唾液腺も刺激されます。
結果的に唾液の量を増やせるのです。
口腔トレーニングを行う ドライマウスの治療メニュー
表情筋を意識して動かすことで唾液線を刺激するためのトレーニングです。
↓
「ウー」と発音しながら口をすぼめる 奥歯は噛んだまま
これを1セットにして5~8回、1日2セット行います。
このトレーニングはドライマウスの治療でも使われているものです。
唾液は消化だけでなく、全身の健康に関っています。
時には唾液の重要性を再認識して「よく噛んでるかな?」と注意してみましょう。