基礎代謝は1日の消費エネルギーの7割を占め、そのうち4割は筋肉によるエネルギー消費です。
 
食事だけを減らすダイエットでは、筋肉まで落とし、基礎代謝量も減らしてしまいます。
 
これではわざわざ太りやすい体質にしているようなもので、結果的に”メタボ”になってしまい、様々な病気を招いてしまいます。

日頃から活動量を上げ、必要なら筋トレを適宜取り入れることで生活習慣病を遠ざけることができます。
 
米国・ハーバード大学の研究では、一週間に2千kcal以上の運動をしている人は、普段全く運動をしていない人に比べて、心筋梗塞による死亡率は4割も少なくなりました。
 
普段から活動量の多い人は、言い換えるなら体を動かせる体力・筋力がある人です。体を動かすのが億劫ではなく、多くのカロリーを消費するのでますます健康的になり、好循環が生まれます。
 
対して普段体を動かさない人は、トシとともに筋肉・体力が減っていき、体を動かすのが辛くなってきます。すると体重も増えてきて、ますます活動しなくなる、と悪循環に陥ってしまいます。
 
好循環を生むためには、やはりある程度意識して体を動かさなくてはいけません。
 
ここでひとつチェックを。
 
筑波大学スポーツ医学専攻の高橋康輝研究員は次のような体力チェック項目を掲げています。
(中高年向けです)

・腕立て伏せが20回以上できる
・腹筋運動のような上体起こしが休まずに20回以上できる
・休憩無しでも無理なく1時間以上歩ける
・階段は手すりなしで上り下りできる
・立った状態の前屈運動で膝を曲げずに指先が床につく
・膝を伸ばして床に座り、上体を前に曲げて足首に手の指が届く
 
・「できる」が5~6個あれば49歳以下の体力
・3~4個なら50~59歳
・2個以下なら60歳以上

 
このチェックでは上から2つずつ筋力、持久力、柔軟性を見ます。
 
体力が60歳以下と判定された場合は、転倒や生活習慣病の危険性が高まると判断されます。
 
体をこまめに動かす、運動や筋トレを習慣づけるなどしないと、”悪循環”に陥る可能性があります。

運動が三日坊主になるなら

とはいえ、「運動が続かない」のはよくある話です。
 
かくいう管理人も、筋トレはサボッてばかりです。
 
新年や新年度などに、ウォーキングやランニングをやるぞ!と決心しても、いつの間にかやめてしまったといった三日坊主は多くの人が経験しているのではないでしょうか。
 
こういう話題では、よく「意志が弱いから」という結論になりがちですが、私としてはちょっと違う考えを持っています。
 
本来運動とは、「イヤだけど、決めたからやる」「三日坊主にしたくないから続ける」という性質のものでしょうか?
 
プロアスリートであればそうかもしれませんが、私達一般人であれば「やってみたら気分爽快」「気分転換になって、気持ち良い」のが運動だと思うのです。
 
私は、人それぞれに「合う」運動があると考えています。
 
やってみると、自然と「爽快さ・気持ちよさ」を感じる運動ですね。三日坊主になってしまった運動は、その人に「合って」いたのでしょうか?
 
私は週一回の水泳を習慣にしていました。
 
10年以上ほど続けて、施設の工事やカゼをひいて「これはヤバい」と感じた時以外は休みませんでした。(※管理人注 熊本地震以降はほぼ中断しております)
 
キツさも感じるのですが、なぜかサボりません。というか、「めんどくさい~ サボろう」という気にならないのです。
 
私にとって水泳は「合って」いるようです。
 
反面、筋トレはいまひとつ私には合ってない気がします。
 
実によくサボるんですよ。(単なる言い訳だろ、と言われればそれまでですが)
 
三日坊主になってしまったのは「意志」の問題というよりも、その運動との「相性」が合っていなかった、という部分も大きいと思うのです。
 
「合って」いる運動は、自然と続くのではないでしょうか。ある人にはランニングが合っているかもしれませんし、別の人はウェイトトレーニングを楽しく感じることもあるでしょう。
 
何かの運動が三日坊主になったとしても、ヘコむことなく何か他にトライするのが大事だと考えます。「合うわ~!」と思う運動に出会えるかもしれません。
 
さすがに、手当たり次第に際限なく、はどうかと思いますが、誰かから運動のお誘い(サークル活動など)があったら、とりあえずノッてみるのはいかがでしょうか。
 
運動が三日坊主になってしまう理由と考えるものをあと二つ。
 
まずは「始めた運動の負荷が大きすぎる」
 
「さて、ジョギングでもやってみるか」といきなり10km 走ったり、筋トレで一日のプログラム数をやたら多くする、といったムリをすることですね。
 
久しぶりの運動であれば、誰でも思うように身体は動きません。
 
それなのにいきなり負荷を大きくすれば「こんなにキツいんじゃとても続かない」となるのは当り前です。仮にその運動が「合って」いたとしても、キツすぎてはやる気がなくなります。ヘタをすればケガにもつながります。
 
まずは「軽すぎる」くらいの内容で始めるのが良いのではないでしょうか。
 
「ちょっと物足りない」程度でやめておくと、次回への意欲が失われにくくなるはずです。(どのくらいの負荷が理想的かについては、下に記事を書いています)
 
二つ目の理由として「身体を動かすことばかりに集中して、回復に気を使ってないのでは?」を挙げてみます。
 
これは「負荷が大きすぎる」にも通じるかもしれません。
 
筋トレにしろウォーキングにしろ、運動することは身体を疲れさせることでもあります。
 
運動するのは良いのですが、回復がおろそかになると、いつまでも疲労が抜けず、次回の運動への意欲がそがれてしまうことになりかねません。
 
自分でわざわざ身体を疲れさせておいて、その疲れが抜けないからキツくて運動する気が起きない、というのは何だかヘンな話です。
 
特にウェイトトレーニングをキツめにやると、かなり本格的に回復にとりくまないと、いつまでも身体に疲れをためることになりがちです。
 
負荷によって違いはありますが、運動後は
 
・たんぱく質を多めにとる
・ビタミン類も不足しないように注意する
・クエン酸を摂取してみる
・肝臓を休める
・ストレッチを行う
・睡眠を十分にとる

 
といった、「積極的に休息し、回復する」意識は必要です。
 
疲労がスッキリ抜けてこそ次の運動へのやる気も湧いてくるというものです。

理想の「適度な運動」とは 荒川規矩男教授 脈拍数が基準

上の記事で紹介したように、運動は負荷が大きすぎると三日坊主になりがちです。
 
それだけではなく、「実害」もあります。運動のやりすぎは免疫力を低下させてしまうのです。
 
つまりは「適度な運動」を実践する必要があるわけで、これは健康維持のお約束でもあります。
 
それでは、「適度な運動」はどのように判断するのでしょうか?
 
福岡大学医学部の荒川規矩男名誉教授は、理想とされる「適度な運動」を「ニコニコペース運動」と名付けていて、
 
「隣の人とニコニコ会話しながらできる運動」
 
と定義しています。
 
ある運動が「ニコニコペース」かどうかを判断するには、運動直後に一分間の脈拍数を計ります。その数が下の「理想の脈拍数」に近いほど「ニコニコペース」ということになります。
 
◆138-(年齢の二分の一)=理想の脈拍数
 
実際の脈拍数が理想よりも多いと、負荷が強すぎる、つまり「やりすぎ」であると考えられます。
 
一分間脈拍を数えるのが大変なら、15秒間脈をとる場合の数式もあります。
 
◆32-(年齢の八分の一)=(15秒間での)理想の脈拍数
 
運動する際、ひとつの目安にしてみてください。
 
激しい運動もたまに行う分には問題無いでしょうが、習慣とするならあくまで「ほどほど」「ニコニコ」くらいの負荷が健康にも良く、継続できるのではないでしょうか。