ここでは「脂肪」と「脂質」は同じものと考えてください。

脂肪酸とは、脂質を作っている成分のひとつです。脂肪酸は40種類以上あり、植物性および動物性の油に多く含まれています。
 
ちなみに一般の植物油は三つの脂肪酸で構成されている一方で、流行の「体に脂肪がつきにくい油」には二つの脂肪酸で構成されたものがあります。

脂肪酸5種類 危険性が指摘されているものも

脂肪酸には次のような種類があります。
 
■飽和脂肪酸
ラウリン酸やステアリン酸があり、肉類やラード、バターに含まれています。コレステロールや中性脂肪を増加させます。過剰に摂取すると動脈硬化や心臓病を引き起こしてしまいます。
 

 
■一価不飽和脂肪酸 n-9系(オメガ9系)
オレイン酸が代表的で、酸化されにくい特徴があります。オリーブ油や椿油、キャノーラ油、ナッツ類に含まれています。悪玉コレステロールを減らし、心臓病の発症を抑制します。
 

 
■多価不飽和脂肪酸 n-6系(オメガ6系)
リノール酸、アラキドン酸などがあり、キャノーラ油やごま油に含まれています。コレステロール低下作用もありますが、過剰に摂取するとアレルギーや動脈硬化、心臓病の原因になる場合があります。
 

 
■多価不飽和脂肪酸 n-3系(オメガ3系)
アルファリノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などがあり、サッチャインチオイルやンシソ油、魚類に含まれています。
 

 
■トランス脂肪酸
牛やヤギの乳・肉中に存在し、マーガリンやショートニング、サラダ油にも含まれています。菓子やパン、コーヒーフレッシュなどの加工食品にも広く使われています。コレステロールを増加させるので動脈硬化や心臓病を引き起こします。欧米では危険性が強く主張されています。

中性脂肪・コレステロールとは?

これらの脂肪酸が集まって脂肪(いわゆる油)ができています。飽和脂肪酸を多く含む食品は常温では固体であり、不飽和脂肪酸が多い食品は常温では液体です。
 
脂肪に関する話題では必ず出てくる「中性脂肪」や「コレステロール」とは何かというと・・・
 
中性脂肪(別名トリグリセリド)は三つの脂肪酸とグリセロールからできています。食事で摂った脂肪分や炭水化物を材料にして体内で産生されます。
 
つまり「食事で直接中性脂肪を摂る」ということはありません。あくまで体内で作られるものです。上記で「増やす食品」として挙げたものを摂取すると、体内で特に多く産生されます。
 

 
「お腹やニの腕のタプタプ」や「内臓脂肪」など、ダイエットや日常生活で一般に言われる「脂肪」とは、中性脂肪を指しています。
 
ではコレステロールはというと、コレステロールも脂肪の一種です。本来は細胞膜やホルモンの材料となる成分です。
 
この点で中性脂肪と性質が違うことから、中性脂肪は貯蔵される脂質、コレステロールは身体を構成する脂質と言えます。
 
コレステロールは食品中にも含まれているので、食事から摂取するだけでなく、体内でも生産されています。食事から摂取する量と体内で生産される量の割合はおよそ3:7といわれています。
 

 
※むらお注 
近年は、コレステロール値は食事ではほとんど上昇しない、との説も有力になっています。卵を食べる際もコレステロールを気にしなくても良い、との考えも広まっているのです。
 
中性脂肪もコレステロールも脂質なので血液中には溶けません。そこで、少し姿を変えて血液中を漂うことになります。「悪玉・善玉コレステロール」という区別が出るのも、姿を変えた後になります。