活性酸素に関する話題を二つ紹介します。
 
まずは脳が酸化に弱い件について。
 
脳はなぜ酸化しやすいのでしょうか?
 

脳は日夜休むことなく活動を続けているため、酸素の消費量が格段に多くなります。
 
つまり、発生する活性酸素の量も多いということです。
 
さらに、脳の主成分である脂質は、脂質の中でも最も酸化に弱いタイプなので、活性酸素によってさび付き安いのです。
 
これらの理由から、脳は非常に活性酸素の影響を受けやすいといえます。「老化」現象が顕著に現れる部分のひとつに脳があるのも、こうしたことと関係があります。
 
 
脳が脳として機能するために必要な神経細胞は、さび付いて変性し、死滅したら再生しないとされています。
 
アルツハイマー、脳血管障害、パーキンソン病も活性酸素の影響で起きるという説が有力です。
 
 
活性酸素を抑える働きがあるのが抗酸化物質です。抗酸化物質にはビタミンCやビタミンE、ポリフェノールなどがあります。
 
いずれも果物や野菜などの色の濃い部分に含まれています。
 
野菜の色素は、もともとは日光を浴びることで発生する活性酸素を抑えるためのものだったといわれています。それを人間が摂取することで抗酸化力の恩恵を受けているわけですね。
 
活性酸素と野菜の力
活性酸素と野菜の力 (21世紀の健康を考える)
 
野菜や果物よりも人間にとって最も身近な抗酸化物質は唾液ではないでしょうか。唾液は非常に強力な抗酸化作用があります。
 
食事の際によく咀嚼すると唾液もたくさん出ます。それによって抗酸化作用も期待できるわけです。
 
健康法の基本中の基本として「よく噛む」のが挙げられるのは、食べ物を消化しやすくするためだけではないのです。
 

実は役にも立っている活性酸素

活性酸素はその攻撃性ゆえに役立つこともあります。 
 
白血球はウィルスや細菌などの病原菌を撃退するために活性酸素を作り、この活性酸素で病原菌を攻撃します。
 
 
風邪をひいたり、傷口が化膿したりすると体内の活性酸素が増えます。
 
白血球は、敵を攻撃するための活性酸素によって、自らも傷つき、死んでしまいます。たんや膿は、そんな白血球の死骸です。
 
 
人間が紫外線や放射線を浴びると細胞内に活性酸素が発生します。
 
このため日焼けはあまり良くないと言われるわけですが、癌の放射線治療などはこの原理を応用した治療法なのです。
 
人体にわざと放射線を当てることで活性酸素を発生させ、その攻撃性によりがん細胞を撃退するわけです。
 
 
また活性酸素は細胞が増殖する際には情報伝達物質(シグナル伝達)の役割をする、との研究結果もあります。
 
 
「活性酸素は老化の主な原因のひとつである」というのは定説になっています。
 
しかし05年の7月には、東京大学食品工学研究室の染谷慎一特任教員をはじめとする東京大学・ウィスコンシン大学・フロリダ大学の共同研究チームが、活性酸素は老化に関与していないとする研究結果を発表しました。
 
活性酸素については良い面・悪い面の議論がさまざまですが、とりあえず私たちは悪い面を解消すべく野菜・果物をたくさん食べて、食事の際はよく噛むことを実践することが大事ではないでしょうか。