「キズものの野菜」というと、あまり良いイメージはありませんが、実は普通の野菜よりも栄養素(抗酸化成分)が多くなるそうです
研究結果を紹介します。
キズ・不作で抗酸化力アップ ナスやぶどう
大阪府立産業開発研究所の研究報告によると、栽培中に傷ついた水ナスは、傷の無いものよりも抗酸化力が約2倍高くなります。
ナスに含まれる抗酸化物質はポリフェノール類で、皮部分にはアントシアニン、果肉部分ではクロロゲン酸が多くなっています。
水ナスは外皮に傷がつくとその部分がコルク状になります。傷つきのナスはコルク化していない部分全般でポリフェノールが増えているのです。
ココアや赤ワインの抗酸化作用に関する研究で有名な茨城キリスト教大学の板倉弘重教授は、これに関連する話を友人から聞いています。
南米在住のその方は赤ワインの研究をしていて、いわく「ブドウが不作な年ほど赤ワインに含まれるレスベラトールの量が多くなる」のだとか。
レスベラトールは赤ワインに含まれているポリフェノールで、強力な抗酸化力を持っています。
ブドウが不作となる原因には気候、害虫、病気などがありますが、いずれにしても「ブドウには厳しい環境」であることには間違いありません。
その厳しい環境を耐え抜くためにレスベラトールが増えたと考えられるのです。
そう考えると、不作の年のワインは健康効果が高い、と言えそうです。(味が悪くなる可能性もありますし、値段が高くなるかもしれませんが・・・)
こういった「防御反応」が、水ナスやブドウ以外の作物でも起きることは十分考えられます。
厳しい環境で育てる緑健農法も同じ原理で栄養豊富に
緑健農法ってありますよね。
トマトや玉ねぎなどの農作物を、水や肥料を極限まで与えずに育てる(今風に言うと「ドS」な?)栽培法です。
葉がしおれ始めてようやく水や肥料を与えるという厳しさで、緑健農法は別名スパルタ農法と呼ばれています。作物を飢餓状態に追い込むのは、植物本来の力を最大限に引き出すねらいがあります。
緑健農法で作られた野菜は通常のものよりもはるかに多くの栄養を含み、アクも少ないそうです。
「農産物は逆境を経験していると栄養価が高い」のはどうやら間違いないようです。
ということは、見た目さえ気にしなければキズものを選んだ方が同じ値段で栄養的にはお得ではないでしょうか?
食事本来の目的からすれば断然イイですよね。
最近はキズもの野菜もだいぶ流通しているようですが、そのうちキズものの方が高くなったりして・・・。