神経ブロック療法とは、簡単には「患部の痛みを軽減させて、血流を促すために行う療法」です。

腰痛や肩、腕、顔の痛みなどに対し施術されます。

痛みの負のスパイラルを防ぐ 神経ブロック療法

様々な研究から、「痛みは痛みを呼ぶ」ことが分かってきました。
 
ある箇所に痛みが発生すると運動神経や交感神経が興奮し、血管が収縮します。
 
するとその部分の血流が悪くなって栄養分や酸素の供給が滞ります。同時に痛みを発生させる物質も作られるため、痛みがさらに強くなってしまうのです。
 

 
つまり「患部が痛む」こと自体がまた別の痛みを生み、「痛みの負のスパイラル」が生じるのです。
 
そこで、この悪循環を断ち切るために「とりあえずは痛みを消そう!」と施されるのが神経ブロック療法です。
 
痛みの発生や増加に関係している神経に、注射で麻酔薬などを作用させ、刺激の伝達を遮断します。
 
「痛みを遮断する」というと、痛みなどを感じる知覚神経だけが対象のようですが、実際には筋肉を動かす運動神経や内臓などを司る自律神経にも遮断が施されることがあります。
 

 
一例として、顔面が痛む三叉神経痛では知覚神経を遮断し、舌がピリピリと熱を感じるような痛みがある舌痛症では交感神経が遮断されます。(三叉神経痛については、下の記事をご覧ください)
 
注射は症状によって首や肩、腰などに施されます。
 
費用は用途で千差万別ですが、保険適用で3千円から高くて1万5千円ほどが目安のようです。

顔に激痛 三叉神経痛 症状や原因・治療法 薬の副作用や手術についても

顔面に激しい痛みが起きる三叉神経痛は50歳過ぎの人に多く見られ、性別では女性に多くなっています。
 
症状の初期はそれほど激しい痛みではなくとも、時間と共に痛みが増し、「針で刺される」「電気が走る」と形容される激痛を感じるようになります。
 
鼻の横や唇の上など顔の片側に痛みが発生し(右側が多い)、数秒~2分程度続きます。痛む場所から歯痛と間違われることもあります。
 
痛みは大変なストレスになりますが、三叉神経痛であれば命に関ることはありません。ただし顔面痛は脳腫瘍が原因のこともまれにあるので注意しなくてはいけません。
 

 
三叉神経痛は、血管が神経に接触し、神経を圧迫することで発症します。
 
神経には一般に薄いカバーで覆われていますが、三叉神経の一部にはカバーが無く、神経がむき出しになっている部分があります。ここに血管が触れると痛みが生じるのです。
 
治療にはカルバマゼピンなどの抗てんかん薬を服用し、痛みを緩和します。
 
この薬はよく効くのですが、吐き気やふらつき、肝機能低下などの副作用が起きることがあります。
 
薬が効かなかったり、副作用が強すぎる時は手術治療が施されます。「血管減圧術」と呼ばれる手術で、三叉神経に触れている血管を離し、圧迫を取り除きます。
 
顕微鏡を使って行われる非常に微細な作業なので、医師の熟練を必要としますが手法は確立されていて効果は高く、術後は劇的に症状が改善します。
 
その他の治療法としては注射によって痛みを緩和させる神経ブロック療法、三叉神経に放射線を当てる治療法などがあります。