近年トシを実感することが多いせいか、アンチエイジングには敏感に反応してしまいます。(´Д`)
 
「老化」「寿命」というと、遺伝の要素が大きいと思いがちですが、一卵性双生児の研究からは、実はそうではないことが分かっています。
 
一卵性双生児は遺伝子が全く同じなので、老化の度合いも同じように進行するはずです。

しかし実際には、見た目をはじめ老化には差が発生します。
 
タバコを吸うか吸わないかで、容貌に大きな差がついた、海外の双子の女性の画像は結構有名ではないでしょうか。
 
一卵性双生児のデータなどをもとに計算した結果、老化の遺伝的要因は25%ほどで、残りの75%は後天的な環境要因なのだそうです。
 
最近は、老化の後天的影響に関連して、私たちの細胞内にある「テロメア」という構造体が取り沙汰されるようになりました。
 
テロメアは染色体の末端にキャップのように付いていて、DNAを守る働きがあります。テロメアは加齢と共に短くなり、最後には消えてしまいます。この過程でいわゆる「老化」という現象が起きるのです。
 
わかりやすい例として、肌の弾力を保つ「エラスチン」を作る細胞があります。この細胞内にもテロメアがあり、加齢と共に短くなっていきます。テロメアによる防御作用が無くなると、DNAが分解酵素などの攻撃を受け、細胞のエラスチン産生能力が落ちてしまいます。
 
その結果、肌にハリがなくなり、シワが増えるという老化現象が表れるわけです。
 
テロメアを短くする要素には、いくつかわかっているものがあります。
 
テロメアが短くなる理由は、加齢だけではありません。
 
イギリスで1122人の女性を対象に行われた調査では、太っている人は、そうでない人よりも白血球のテロメアが短く、しかも短くなる速度が10倍も速いことがわかっています。
 
またタバコを吸う人は吸わない人の2倍の速度で短くなり、運動をしない人もテロメアが短くなるスピードが速いという結果も出ています。
 
運動については、2010年の5月に、オンライン科学誌「PLoS ONE」で「最低週3日、1日14分の活発な運動でテロメアの短縮防止に効果がある」というアメリカの研究が発表されました。
 
アメリカでは、ストレス環境とテロメアの関連も研究されています。
 
強いストレス環境にある女性と、そうでない女性の白血球のテロメアを調べたところ、ストレス環境にある女性のテロメアが短くなっていました。
 
ストレスが強いほどテロメアは短くなっていましたが、同じ環境下でも「特にストレスを感じない」と答えた人のテロメアは短縮幅が小さかったそうです。
 
つまり、ストレスに強い人ほど老化にも強い、と言えるわけです。
 
この結果をみると、老化には先天的な遺伝の要因に加え、生活習慣などの後天的な要因、そして個人の性格も関係していることがわかります。
 
「健康のためにはタバコを吸わず、適度な運動を。ストレスはできるだけ少なく」とは昔から言われ続けており、現在では当たり前になりすぎて忘れられている感もあります。
 
しかし実はこの言葉こそが、「老化を防ぐ」という、究極の健康法なのかもしれません。