だいぶ寒くなったある日、一日の終わりにトイレに座っていたら、ふと
 
「今日はどれくらい水を飲んだっけ?」
 
という疑問がわきました。
 
考えたところ、朝イチと食事時以外、ほとんど飲んでいないことに気づきました。
 
冬の間は水分摂取量があからさまに減りませんか?

寒くなると汗もかかなくなるので、単純にのどが渇かなくなります。
 
私は「身体が欲するものは身体に必要なもの」と考えるところがあるので、のどが渇かないということは、ぶっちゃけた話
 
「寒い季節は水分意識してとらなくてもいいんじゃね?」
 
なんて思っていました。
 
これはサボりで飲まないわけではなく、飲む気がしないのだから飲まないのが自然なのでは?という話です。不調は別に感じないからいいか・・・ということで落ち着いていました。
 
ところが・・・
 
思わぬソースから、それではダメかも?と思わされることになりました。そのソースとは少し前に読んだ「SASサバイバル百科大全 デリー・デイヴィス著」という本です。
 
ジャングルや砂漠地帯でのサバイバル術を紹介した本です。
 
(むらお注:今の世の中、そんな本読んでどうする?というツッコミはナシで。男はこういう本好きなんです。もっとも、ビンボーな私は毎日がある意味サバイバルですが・・・)
 
その中に寒冷地(北極圏など)のサバイバル心得として、このようにありました。

極地の冬でも、1日最低2リットルの水が必要である。極地の環境ではノドの乾きを覚えることがなく、水の平均摂取量は少なくなる。
 
そのため身体は次第に脱水症状を呈するようになる。身体がだるく無気力となり、いつまでも眠りたい気分に襲われる。
 
(中略)
 
水をきちんと飲み1日の摂取量に注意していれば、簡単に治る。
(224ページ)

これはまさに、寒い季節に水を飲まなくなる状況そのものではありませんか?健康モノとは全く関係なさそうな本から、私の疑問への指摘をスバリと受けたのです。
 
ちなみにこの本の著者はイギリス陸軍特殊空挺部隊に18年間勤務した後、サバイバル術のインストラクターをしている人です。
 
サバイバル術と言えば、「生きるためにこれだけは必要」とされる技術です。その技術として「水を2リットル飲め」とすすめてあるとは・・・。
 
日常生活と寒冷地では環境が違いますが、水を飲まないと、「体のだるさ」や「無気力」を感じるようになるのはどちらも共通しているはずです。
 
この記述を読んで、私は「やっぱり飲んだ方がいいのかな?」という考えに大きく傾きました。
 
 
結論として、現在では
 
「寒くてもちょっとばかり意識して飲んでみるか」(ただし、ムリして飲むことはしない)
 
と心掛けています。
 
本を一冊読んだだけでやたら影響されてる印象もありますが、あらためて考えると「冬はそれほど飲まなくて良い」という主張は目にした記憶がほとんど無いんですよね。
 
冬場はコーヒーやお茶の摂取量が増えませんか?加えて、寒い時期でもアルコールを飲む機会はたくさんあります。(むしろ冬場のほうが多いかも?)
 
これらの飲料はいずれも排尿を促すので、身体の水分を減らす方向に作用します。
 
また冬は夏ほど汗をかかないとはいえ、空気は冬の方が圧倒的に乾燥してます。
 
こうしてみると、「冬は汗をかかないから飲まない」のはちょっと違うかな?と感じます。
 
また痛風や糖尿病など、疾患によっては季節を問わず水を飲むように勧められることもあります。
 
とはいえ、こうした疾患や乾燥肌が心配だとしても、ノドが渇かないんだから飲む気が起きないし、飲むのをつい忘れてしまうことが多いのも事実でしょう。
 
そこで、ひとつ提案させてもらうと、
 
・トイレを済ませる度に飲む
 
というのはどうでしょうか?「出した水分を補給する」という意識で飲むわけです。
 
自分の水分摂取量を省みて、「ちょっと足りないかな?」と思うなら試してみてください。飲み忘れることも少なくなり、私としては意外とイケてるやり方だと考えています。
 
最後に、水分補給に関して対立する主張も紹介しておきます。

水は飲むべきなのか?石原結實医師・湯本優医師の記事

ここまで、「寒い冬でも水はある程度意識して飲んだほうがいいのでは?」という件をお知らせしました。
 
今のところは「それなりに飲む」くらいの考えなのですが、この「水を飲む」ことに関しては、賛否両論あるのも事実です。
 
女優さんやモデルさんなどが美容の話をする際には、ほぼ間違いなく「飲むべし」と主張されています。
 
同時に「身体を冷やすから」といった理由で「飲む必要はない」という主張もあるのです。
 
少し前にも、このように内容が相反する記事を目にしました。
 
2009年12月26日付の日経新聞に、健康管理コンサルタントで医師でもある湯本優さんの「体質を改善する」というコーナーがありました。
 
その中で湯本さんは「水分を一日最低2~3リットル飲む」と書いていて、その理由を
 
「代謝を良くして、食べたものを効率よくエネルギーに変える体を作るため」
 
としています。
つまり「水を飲むべし」派ですね。
 
これに対して、先日紹介した本「間違いだらけの医学・健康常識」の中で、石原結實医師は

「水分を多く摂りすぎると、肝臓内の胆汁の流れが悪くなり、ガンマGTP値が上昇してしまう。つまりこれは体内に余分な水分が溜まっている状態である」

という主旨のことを書いておられます。
(148~149ページ)
 
果たしてどちらを採用すべきでしょうか?
 
人によって違いがあると思うので、結局は飲む・飲まないをそれぞれしばらく試してみて体調の良い方を採用する、というしかないようです。
 
いまのところ私は「飲む」のを習慣にしていて、特に不調などは感じていません。