「暮らしの健康ことわざ辞典(Amazon・PR) 西谷裕子編」という本を読みました。
およそ千項目が収録されていて、「健康にまつわることわざってこんなにあるの?」とちょっとビックリです。
中には「?」と感じるものもありますが、多くは「あぁ、確かにそうだな~」と納得するものばかり。
辞典には「子供の健康」という章があり、この中から私が「へぇ~」と感じたものを、解説と共に紹介してみます。
赤子の口は拭くな
赤ちゃんの口の周りはとかく汚れがちですが、生まれて三か月ほどは免疫力も強く、清潔を保とうとそれほど神経質になることはない、という意味です。
辞典によると「むしろ、ガーゼで口内を傷つけることのほうが問題」なのだとか。
牛の乳より母の乳
これは解説の必要はないでしょうか。牛乳は、カルシウムやマグネシウムといった無機質を母乳よりも2~3倍多く含んでおり、優れた面もあります。
しかし母乳には子供の免疫力を高めるという重要な役割があり、授乳によって赤ちゃんの精神面も充足させる作用も持っているのです。
母乳の重要性を指摘しています。
嬰児の常に病むは飽(ほう)に傷むなり
赤ん坊が病気によくかかるのは乳の飲ませ過ぎが原因で、愛情も過多になると子供に弊害をもたらす、という戒め。
親の甘茶が毒となる
子供が好むものばかり食べさせていると栄養が偏って健康を損ねるだけでなく、心にも悪い影響がある。
子供を甘やかして育てると結局は子供の害になる、ということわざです。
堅い物は箸ばかり
過保護に育てることのたとえで、「箸以外に堅いものを口にしない」→「子供に柔らかいものばかりを食べさせる」ことです。
咀嚼する回数が減ると、身体にさまざまな悪影響が出ます。「よく噛む」ことの重要性を指摘しています。
小児を育てるには三分の飢えと寒とを存すべし
貝原益軒の「養生訓」にある言葉で、子供を健康に育てるには食事量を控えめにし、厚着もさせないことが肝心、と説いたものです。
暖衣飽食が当り前で、それが様々な病気の原因となっている現代では特に意識すべきことわざかもしれません。
寝しなに餅を食べると夜尿症が治る
餅が「人参」の地方もあります。さすがにこれは科学的な根拠は薄く、一種のおまじないと考えられています。ほとんどの夜尿症は成長に伴って治ります。
年寄りの育てる子は三百文安い
年寄りは子供を可愛がりすぎて過保護に育てるため、子供がわがままになったり、自立心を持たずに育ってしまいがちであることを指しています。
幼児がバナナを食べると疫痢になる
疫痢とは赤痢菌が原因で熱や下痢を発症する感染症で、子供に多い病気です。
とはいえ、バナナを食べて疫痢になることはもちろんありません。
ただしネット上を調べてみると、「赤ちゃんにはバナナを与えない方が良い」という意見があります。
「バナナは甘みが強いので、薄味の離乳食を食べなくなるから」というのが理由で、1歳くらいまでバナナは控えるべき、という主張です。
反面、バナナを食べさせても問題なし、という考え方もあるようで、このへんは意見が分かれています。
以上、目につくことわざを抜粋してみました。
「子供は甘やかしてはダメ!」と戒める言葉が多かったようです。