18歳から64歳で発症する認知症を若年性認知症と言います。
 
「若年性」とはいっても、20~30代から発症することは少なく、40代以降の発症がほとんどだです。

働き盛りの人に発症すると生活に支障をきたします。(この記事は07年に作成しました)


日本での患者数は3万人~5万人、10万人を超えるという報告もあります。
 
若年性認知症は増えており、数の上では決して珍しい症状ではありません。
 
最近はこの病気をテーマにした映画なども作られるようになり、認知は広がっていますが、若年性認知症患者への支援体制などはまだ不十分なようです。
 
若年性認知症には主に2種類あり、ひとつがアルツハイマー型、もうひとつがピック病です。医師でもこの2つを見分けるのは難しいとされています。
 
アルツハイマー型は脳の後頭葉や頭頂が侵されるのに対し、ピック病は前頭葉や側頭葉に萎縮が起きます。
 
 
アルツハイマー型では、日時や過去の体験・知識を忘れたり、間違えたりする「記憶の障害」が症状の中心になります。
 
その他には不眠、不安感、うつ状態といった症状があり、人格が突然変わってしまう(怒りっぽくなるなど)こともあります。
 
はっきりした原因はつかめていませんが、遺伝によるものが多いとされ、以下のように予防法らしきものもわかってきました。
 
・肉類をあまり食べず、魚や野菜を多く食べる
・運動する習慣を持つ
・ストレスをためない
・脳を活動させる(好奇心を持つ)
・タバコを吸わない
 
ピック病では毎日同じ時間に同じことを繰り返すなど「行動の障害」が目立つのが特徴です。言葉が出にくくなることもあります。
 
 
アルツハイマーは、研究や治療薬の開発がある程度すすんでいますが、ピック病には世界共通の診断基準もありません。世界でどの程度発生しているか明らかではないのです。
 
 
若年性認知症には頭部の外傷やアルコール依存、薬物依存、脳血管障害などが原因になっていることもあり、それに応じた対処がとられます。
 
 
武田雅俊氏、篠崎和弘氏、西川隆氏らの研究によると、若年性認知症には次のような「前駆期」段階での症状があるそうです。
 
・複雑な精神機能を必要とする作業の質と量が変化する
・仕事の能率と量が低下する
・全体状況を判断することが困難になり、細部にこだわるようになる
・その人らしい個性が失われてくる
・何となくだるいというような、不定愁訴が増える
・頭痛やめまい、うつ気分、不安感などで悩むことが多くなる
・根気が続かない、疲れやすくなる