ある年代以上の人なら、「全裸で寝る」「パンツ(下着)を脱いで寝る」健康法が以前流行したのを覚えているのではないでしょうか。
最近はとんでもない暑さが続いているので、当時の流行を知らなくても(ほぼ)全裸で寝ている、という方もいらっしゃるかもしれません。
一方で、暑くてもパジャマを着て寝たほうがよい、との主張もあります。(部屋着ではなくパジャマなのはミソです)
このコンテンツでは、(暑さとは無関係に)「全裸で寝る」派と「パジャマを着て寝る」派の主張をまとめます。
ちょっと昔の「週刊新潮」の記事なので恐縮ですが、考え方を比較してみて下さい。
(週刊新潮 2013年 10/24号(AmazonPR)を参考にしています。医師の肩書きなどは記事が出た当時のものです)
全裸で寝るべき派 締め付けのストレスから解放される
五輪橋産科婦人科小児科病院名誉理事長・丸山淳士医学博士は、全裸で寝るべきと主張されています。
その理由として大きいのは「下着などの締め付けによるストレスから解放されるから」です。
私は20年前から”脱パンツ睡眠”を提唱してきました。睡眠障害は精神面ばかりが強調されていますが、着衣による身体的ストレスこそ重視しなければなりません。
就寝時にパンツやブラジャーを取り払うことで、約7時間は確実にストレスから解放されるのです。
冬でも全裸で問題ありません。
眠る時、人間の身体では手の甲や太腿から熱が放散されています。
それに伴って脳や内臓の深部体温が下がり、眠気を誘うのですが、布団内の空気の層が断熱作用を担うので、寒さの心配はありません。
日本の寒冷地では元々、裸で寝る習慣がありました。布団の中の空気に肌を触れさせて熱を放散し、身体の熱で暖をとっていたわけです。
丸山医師は、パジャマを着るのは”厚着”としています。
シーツやタオルケットなどがそもそも肌着にあたるわけで、さらに”重ね着”などすれば過剰防衛で、免疫機能を弱めてしまいます。
といっても、湿度の調整は大切。タオル地のシーツを使うといいでしょう。
対して”何か着る派”の主張は次のようなものがあります。
パジャマを着たほうが快眠できる理由 汗・スイッチ・中途覚醒減
富山県高岡市雨晴クリニック・坪田聡副院長によると、今のように夜暑くても、パジャマを着たほうがよく眠れるそうです。
バジャマは、身体から出た汗を吸収して蒸発させることで皮膚の熱をうまく逃がしてくれます。何も着ていないと表面に汗がたまってしまう。
シーツやタオルケットは汗を吸収してくれそうに見えますが、身体に生地が密着しないのでパジャマには劣りますし、それらにくるまって眠るのであれば別ですが、今度は圧迫感で深い眠りに入れないおそれも出てきます。
ジャージやジーパンのようなごわごわした素材が皮膚に当たったままだと、交感神経が高まって快眠できません。
寝巻は、肌触りがよく柔らかい素材のものが最適です。
睡眠改善インストラクターの鍛冶恵氏は、パジャマが睡眠への”スイッチ”になる、としています。
ジャージなど部屋着のまま床に就くと、起きている時の感覚を引きずってしまい、寝つきが遅くなります。
パジャマに着替えることで身体に”寝るぞ”というスイッチが入り、入眠までの時間が短くなることが、実験でも証明されています。
その実験とはこちら。
普段パジャマを着ない男性30人が寝つくまでに平均47分かかったところ、パジャマを着ると約9分短縮された。
また、就寝中に目覚めてしまう「中途覚醒」の平均回数も、パジャマを着用すると3.54回から3.01回へと約15%減少した。
(オムロンと下着メーカーによる共同調査)
新潮の記事は「パジャマ派のほうがやや有利」と結ばれています。
管理人も同感で、最近は暑くても夏用のパジャマを着るようにしています。確かに眠りの質が上がる実感があります。