アメリカの05年のデータでは、がんの発生要因として食事35%、タバコ30%、感染10%、生殖・性行為7%、アルコール3%、食品添加物11%、その他14%となっています。
 
食事や喫煙といった、生活習慣に関る要因が70%ほどを占めているのは注目すべき点ではないでしょうか。
 
本人の意識によって改善できる余地が非常に大きいのです。

この統計が日本では感染症の割合が30%を占めるのが特徴で、タバコが単一で最大の発ガン要因になっています。
 
 
タバコの煙には約4千種類の化学物質が含まれていて、その中にはおよそ60種類の発がん物質が含まれています。その中にはアセトアルデヒドやヒ素といったよく知られた毒物があります。
 
喫煙によるがんというと、呼吸器関連というイメージがありますが、喫煙がリスクを上げるがんは呼吸器に限りません。喫煙により吸収された発がん物質が血液によって全身を循環するからです。
 
また、タバコの煙は唾液中に溶け込みます。その唾液が口・のど・食道に接触するので、消化器官の発ガンリスクも上げてしまうのです。
 
結果として、タバコに関連するがんは肺、咽頭がん、喉頭、食道、すい臓、膀胱などに発生し、16種類にものぼります。がんを防ぐ第一歩は何をさておき禁煙なのは間違いありません。

アメリカのがん対策プロジェクト「ヘルシーピープル」

アメリカは1970年代にガン対策などを目的とする国家的プロジェクト「ヘルシーピープル」を立ち上げています。
 
そのプロジェクトの成果により心筋梗塞の年間死亡数は三分の一減少し、ガンの死亡率は1994年から減少傾向にあります。
 
対して日本では心筋梗塞による年間死亡数は1.5倍に、ガンの死亡率は3倍になりました(06年までの統計)。
 
 
アメリカはどういうことを心がけたのでしょうか?
 
まず第一に、喫煙の害に対する意識を徹底させました。
 
1970年代の米国の成人喫煙率は50%を超えていました。それが現在では25%にまで下がっています。
 
 
次に、野菜の摂取を奨励しました。
 
プロジェクトでは一日350グラム以上の野菜を食べるようすすめています。日本人の場合、平均摂取量は285グラムなのでもう一品野菜が欲しいところです。
 
三点目に、一日あたり千歩これまでより多く歩くよう推奨しました。
 
 
タバコに対する意識などは、日本も見習うべきところがありますし、私としてはがん検診の周知も日本で広めたいと考えています。
 
特に乳がん検診の周知はその第一歩としてふさわしいのではないでしょうか。
 
乳がんは働き盛りの女性に発症します。
 
テレビタレントや芸能人でも罹患経験者は多く、手術を経験した人も何人もいます。有名人が体験談などを語ってくれれば、関心を持つ人は増えやすいはずです。
 
寿命を10年延ばす-「乳がん専門医」の教え (中公新書ラクレ 564)
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乳がんは早期に対処できれば、ほぼ100%完治します。そのためには定期的な検診が欠かせません。
 
検診を受け付けている自治体は多く、比較的安価で受診可能です。女性は一度チェックしてみてはいかがでしょうか。