私が子供の頃は「盲腸(虫垂)は役に立たない臓器だから切っても問題ない」というのが常識で、虫垂炎になったら切除手術が一般的だったようです。
しかし近年は「実は盲腸にも大事な役割がある」と言われるようになりました。
雑誌「Tarzan」に、この件の解説がありました。
日本人と欧米人の腸の長さについての解説とともに紹介します。
(Tarzan 2022年10月13日号(Amazon)の12~13ページを参考にしています)
盲腸(虫垂)を切ってはダメな理由 日本人の腸の長さについても
結論から言いますと、虫垂を切ってはいけない理由は
免疫機能が弱ってしまうから
です。
早稲田大学の池田清彦名誉教授の解説です。
虫垂には、腸内環境を守る免疫細胞を作る働きがあります。
虫垂を取ると免疫機能が下がり、腸内細菌のバランスが崩れてしまい、腸内環境が悪くなりやすいのです。
2015年に発表された研究では、虫垂を切除した人は、その後の1年半から3年半の間の大腸がんの罹患率が切除していない人の2倍以上になりました。
現在の虫垂炎の治療では、手術による切除ではなく炎症や痛みを薬で抑える方法が一般的になっています。
ちなみに便秘は虫垂炎リスクを上げるので食物繊維の多い食事などを心掛けましょう。
腸つながりの話題として、同じ記事では
日本人の腸の長さは欧米人と同じ
とも解説されています。
「日本人は植物性食品を多く食べるので腸が長い」という説を聞いたことはありませんか?
私も長いことそのように覚えていたのですが、どうやらこれは間違いのようです。
草食獣の腸が肉食獣より長いのは確かですが、人間は人種間で差はなく、7mほどで共通しています。