加齢黄斑変性は年配の方に発症しやすい目の病気です。
白内障や緑内障に比べるとなじみの薄い病気ですが、加齢黄斑変性に関するテレビCMが放映されるなど、周知は広がっています。
誰にでも発症し、症状が進むと失明するリスクもあるので、軽く考えてはいけません。
このコンテンツでは加齢黄斑変性についてまとめています。
高齢男性に多い加齢黄斑変性 原因や症状 日常生活ではこんな不便が
加齢黄斑変性の発症数は日本で増加傾向にあり、アメリカでは糖尿病網膜症に代わって失明原因の1位になっている病気です。
(この記事は2009年に作成しています)
50歳以上の男性に多く、男性の発症率は女性より3倍多いことが分かっています。
「黄斑」とは網膜上にあり、視細胞が集まっている場所です。
言わば「物を見るために最も大事な部分」なわけで、いわゆる「視力」はこの黄斑でとらえた像を解析する力なのです。
加齢黄斑変性ではこの部分に異常が発生するため、「もっとも良く見える部分が見えにくくなる」ことになってしまいます。
原因はよくわかっておらず、網膜の老化、喫煙、強い光(太陽光を含む)を目に受ける、栄養不足などが考えられています。
加齢黄斑変性の主な症状は以下の三つです。
・変視症・・・視野中心部のものが歪んで見える。視野周辺は正常に見える
・中心暗点・・・視野中心部が見えにくい、あるいは見えなくなる
・視力低下・・・視力が低下して、特に視野中心部がぼやけるようになる
これらの症状から、日常生活ではこんな不便を感じるようになります。
・お金(紙幣)が識別できなくなる、値札が見えなくなる
・階段やエスカレーターで転びやすくなる
・まな板の上の食材をうまく切れなくなった
・知人の顔に気付かず、挨拶しなくなる
・道路標識が読めない
・新聞や本が読めない
こうした現象に気付いたら、眼科を受診しましょう。
加齢黄斑変性は加齢によって誰にでも発症する可能性があります。
50歳を過ぎたら眼科を定期的に受診し、早めの発見・治療を心がけましょう。
加齢黄斑変性 2つのタイプ 委縮型と滲出型
加齢黄斑変性には次の2タイプがあります。
■委縮型
黄斑の組織が加齢とともに委縮することで発生し、進行はゆっくり。急激な視力低下はありません。
■滲出型
網膜の下にある脈絡膜から網膜にむかって、新生血管という正常ではない血管が生えてくることで発生します。
この血管はもろく、破れやすいため出血したり、血液中の水分がもれやすいのが特徴です。
その血液や水分が黄斑部の網膜の下に溜まることで、視野に変化が起きます。
萎縮型が滲出型に進行する場合もあります。滲出型ではレーザー治療などで対処します。
加齢黄斑変性を予防するすには 3つのポイント
加齢黄斑変性を予防するためには、次の3点がポイントになります。
■禁煙
喫煙は加齢黄斑変性リスクを高めることがわかっています。
■太陽光を避ける
太陽光の青色光は、黄斑の老化に関わっているとされています。
日射しの強い日に、長時間屋外で過ごす際はサングラスや帽子、日傘などで太陽光から目を守りましょう。
■バランスのよい食事
ビタミンCやE、カロテノイド、オメガ3多価不飽和脂肪酸などの抗酸化成分や亜鉛の欠乏は加齢黄斑変性のリスクを上げます。
緑黄色野菜や魚介類など、バランスの良い食事を心がけましょう。
老眼との違いとチェック法
加齢黄斑変性はある程度年配になってから発症するため老眼と間違われやすいですが、全く別の症状です。
老眼は近くを見る際にピントが合わない一方で、加齢黄斑変性ではピントは合うものの視野が欠ける、ゆがむといった症状がでます。
また加齢黄斑変性は片目だけに発生するケースが多く、この点も老眼とは違います。違いをまとめると以下のようになります。
・近くのものにピントが合わない
・小さい字などが見にくくなる
・視野が欠けることはない
加齢黄斑変性
・ピントは合っていても視野の一部が欠ける、ゆがむ
・片目だけに起きることが多い
時々片目をチェックし、片目だけ視野がぼやける、ゆがむなどしたら加齢黄斑変性の可能性があります。
症状が進み、失明につながるリスクもあるので注意が必要です。
緑内障と同様に、片目だけの視野欠損は気づきにくいケースがあります。
時々片目だけをチェックしたり、ある程度の年齢に達したら定期健診で目も診察を受けるなどの対策を行いましょう。
発症してしまった場合、まずは医師の治療を受けるのが先決ですが、加齢黄斑変性対策に眼科医から勧められているサプリメントもあります。
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ボシュロム社のオキュバイト+ルテインは加齢黄斑変性患者に推奨されているサプリメントです。
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アマゾンには「飲み続けたら症状が改善した」「眼科医から紹介された」「眼圧も正常になった」旨のレビューがありますが、この製品はサプリメントなので効果・効能を保証するものではありません。
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治療薬ルセンティス(ラニビズマブ)とは 効果や副作用
加齢黄斑変性症では外科的治療やレーザーによる治療が中心に行われていましたが、一度低下した視力を改善させることは困難でした。
しかし09年に入ってラニビズマブ(商品名ルセンティス)という薬が製造承認され、販売も始まりました。
これは目の中の硝子体に注射して投与する薬で、最初の3ヶ月は1ヶ月に1回、その後は必要に応じて投与されます。
※画像はイメージです
ラニビズマブは加齢黄斑変性症に対して非常に有効で、視力の維持のみならず、視力の回復・改善効果も臨床試験で確認されています。
「日常生活では不自由しないほどにまで回復した」という例もあります。
ただし副作用として目の痛み、眼圧の上昇、視力低下などが報告されていて、国内の臨床試験では約24%に副作用が認められています。