爪水虫は爪の中にカビの一種、白癬菌が感染することで発症します。
 
爪はケラチンというたんぱく質でできていて、白癬菌はケラチンを溶かす酵素を出して爪の先や表面から入り込みます。
 
侵入した菌がケラチンを栄養にして広がると、爪が白や黄色に濁り始めます。

さらに症状がすすむと爪は厚くなり、内部はスカスカになってきます。ぼろぼろと崩れることもあります。(爪水虫の治療については下の記事をご覧ください)
 
爪水虫はかゆみなどの自覚症状が少ないため、気づくのが遅れて放置しがちです。
 
普通の水虫がかゆいのは菌がかゆみ成分を出し、それを排除しようと身体が反応するからです。爪の中ではそういう反応が起きません。水虫による変色を、外傷と勘違いすることもあります。
 
そのまま放置することで足から爪、爪から足、あるいは家族にも水虫がうつる可能性が高くなります。
 
水虫感染を防ぐポイントのひとつは「乾燥させる」ことです。
 
これは足および靴双方に言えることで、特に靴は湿気がこもりがちです。足は大量の汗をかき、湿気が逃げにくい革靴やブーツは特に水虫になりやすい環境なのです。
 
同じ靴を続けて履くのではなく、いくつかをローテーションさせて常に乾燥した靴を履くように心がけましょう。
 
白癬菌は日常生活で足に付着することがありますが、入浴時に指の間もよく洗い、お風呂から上がって足を乾燥させれば菌が増殖することはありません。

爪水虫の治療や薬の副作用

爪水虫の治療は、医師が処方する内服薬の使用が基本になります。
 
塗り薬やスプレーなどでは、成分が爪の内部まで浸透しません。
 
飲み薬であれば有効成分が血液で運ばれ、爪を作る根元の爪母(そうぼ)や、爪に覆われた爪床(そうしょう)の血管から爪内部に浸透して菌に作用できます。
 
6ヶ月服用するタイプと、一週間飲んで3週間休むのを3ヶ月続けるタイプが主流です。いずれも優れた抗菌作用が確認されています。
 
爪の伸びは1日約0.1ミリなので、足の爪がはえかわるのはおよそ6ヵ月後になります。
 
治療もこれくらいの期間を目安に進めます。
 
また、薬の副作用として下痢や腹痛、まれに肝機能障害が起きるので定期的な血液検査が欠かせません。
 
このように、治療には根気が必要なのですが、適切に治療を続ければ爪水虫は100%完治します。たとえそれが「水虫歴数十年」といったケースであっても、です。
 
最近は女性が水虫になる例が増えています。
 
水虫になると女性が恥ずかしく感じるのは無理もありませんが、水虫は対処が早いほど完治も早くなります。
 
また水虫に見えても実際は違った、ということもあるので一度皮膚科を受診しておくと安心です。

寒い季節と女性の水虫

水虫を予防するには
 
1 足を清潔にすること
2 足を乾燥させておくこと
3 水虫の原因である白癬菌を足に付着させない

 
の3点を意識しておけば大丈夫です。
 
しかし、寒い時期になると女性はブーツを履くようになります。ブーツは通気性が悪く、内部は湿気がこもります。
 
履くと温かい作りになっていると体温も逃げないので高温・多湿となり、ブーツ内部は白癬菌には非常に好ましい環境になってしまいます。
 
また冬は温泉やスーパー銭湯などの温浴施設に行く機会が増えます。近年はフィットネスクラブやジムに通う女性も増えているようです。
 
そうした施設では、他の人の白癬菌が足に付着する機会が増えてしまいます。
 
つまり寒い時期は上の2・3に反するような状況に陥りやすいのです。そのため、寒い時期は特に次のようなことに注意する必要があります。
 
・同じブーツを続けて履かないようにする(2~3足をローテーションで履く)
・温泉施設などを訪れた際は自宅で足を指の間までよく洗い、しっかり乾燥させる

 
これらに気をつけておけば水虫は予防可能です。
 
ちなみに水虫にすでにかかっている場合、寒い季節は白癬菌の活動が弱まるため、かゆみを感じなくなることがあります。
 
しかし菌は感染したまま潜んでいる状態なので翌年暖かくなってくるとかゆみは再発します。寒くなってかゆみが一時的に治まっても、薬の使用は続けなくては根治できません。
 
水虫は適切な治療を施せば100%治ります。市販の水虫薬を試すのもいいですが、症状があまりに長引くようなら皮膚科を受診しましょう。