近年は食中毒で重篤な症状を起こすケースが増えています。
食中毒は時に命にかかわることもありますが、原因となる菌の性質などを理解していれば、かなりの割合で予防できます。
そこでこのコンテンツでは、食中毒菌としてよく知られたボツリヌス菌、リステリア菌について紹介します。
ボツリヌス菌は真空・熱にも強い 予防のキモは
まずはこちらの記事をどうぞ。
MSN産経ニュースさん
真空パックでも食中毒の危険 厚労省が注意呼びかけ
sankei.jp.msn.com/life/news/121119/trd12111916550018-n1.htm
(現在この記事は削除されています)
記事の内容をまとめます。
■ボツリヌス菌は嫌気性なので、真空パック中でも活動し食中毒の原因となる
■ボツリヌス菌は熱に強く、完全に死滅させるには120℃4分間(あるいは100℃6時間)以上の加熱が必要
■一方で冷温には弱い
ネットでちょっと調べたら、ボツリヌス菌の語源はラテン語のbotulus(腸詰め、ソーセージ)なんですね。19世紀のヨーロッパでソーセージやハムを食べた人に感染が多発したからなのだとか。
真空パックだけでなく、缶詰やビン詰め、自家製の発酵食品などの保存食にも注意が必要です。
感染予防のポイントとして、食べる際には
・異臭がしないか
・パックや缶の膨張がないか
を確認しましょう。
最近はネット注文による「お取り寄せ」も盛んになり、真空パックされた食品(あるいはそれに類似する製品)の流通が増えています。
特に加熱処理されていない食品を口にする際には、感染予防の意識を持っておきまょう。
リステリア菌は冷蔵庫でも増える!特徴や症状・対策 妊婦さんは特に注意
このコンテンツをエントリーしているのはもうすぐ梅雨あけ、というころ。
気温と湿度が高くなり、食中毒への注意が必要なシーズンになりました。
食中毒予防の基本として「食品を冷蔵庫に入れる」がありますが、食中毒の原因菌の中には冷蔵庫内でも増殖する菌があります。
それは「リステリア」と呼ばれる菌で、冷蔵庫内の低温や濃い塩分の中でも増殖します。
カンピロバクターやサルモネラと違って日本ではあまり知られてませんが、欧米では集団感染が何度も発生しており、死者も出ています。
欧米のケースではサラダや牛乳、チーズからリステリア菌に感染したと考えられています。
日本でもナチュラルチーズや輸入されたソーセージからリステリア菌が検出された例があります。
リステリア菌に感染すると発熱や頭痛、嘔吐といった症状が見られ、カゼと間違われることもあります。といっても軽視してはダメで、重症化すると髄膜炎や敗血症を起こすことがあります。
抵抗力のある若い人などであれば症状が出ないこともありますが、高齢者や妊婦、乳幼児は注意が必要です。
妊婦さんはリステリア菌に特に感染しやすい(一説には妊娠していない人の20倍)とされ、胎児も危険にさらされます。
低温には強いリステリア菌ですが加熱には弱く、65度以上で数分間加熱すると死滅することがわかっています。
リステリア菌感染を防ぐには、冷蔵庫内であっても食品の長期保存を避けるのがポイントです。
特に妊婦は冷蔵保存された食品(乳製品、野菜、肉)であっても加熱調理を行うと安心です。
カンピロバクター特徴 症状・対処法
食中毒は夏の暑い時期に多いイメージがありますが、寒い冬にも発生します。
特に年末・年始に外食の機会が増えると、食中毒の発生件数も増えます。
家庭でも発生する食中毒ですが、やはり飲食店での発生件数が多くなっています。
厚生労働省が発表した07年の食中毒発生状況では、発生した1289件のうち飲食店での発生は582件を占めています。
カンピロバクターによる食中毒は毎年500件前後発生しています。
カンピロバクター菌の特徴は、他の菌に比べて「強力」なことです。
食中毒の原因菌としてよく知られている黄色ブドウ球菌が1万個ほどで食中毒を発症させるのに対し、カンピロバクターは100~数100個程度が体内に入るだけで発症します。
また、冷凍状態でも死滅しません。
反面加熱・乾燥には弱いので、感染を予防するには食材を十分加熱処理(中心部を75℃より高温で1分以上)することが大事です。
カンピロバクター食中毒の発生原因で最も多いのは、鶏肉を加熱不十分の状態で食べることです。鶏肉の刺し身や、半生の鶏肉料理などは注意が必要です。
しっかり火を通せば鶏肉料理を食べることは全く問題ありません。
鶏肉を処理中に手に付いた菌が別の食品に付着し、その食品を食べて感染するケースも考えられます。
卵が原因でカンピロバクター食中毒が発症した例は報告されていません。
カンピロバクター食中毒では発熱、下痢、嘔吐、腹痛、倦怠感、血便、まれに手足のマヒといった症状が出ます。適切な治療をすれば5日ほどあれば回復します。
潜伏期間が最長で7日と長いので、原因の究明が難しくなることもあります。
年末など鍋物を楽しむ季節は具材にしっかり火を通すように心がけましょう。