もしも唾液が単なる水だったら、一昼夜で全ての歯が虫歯になってしまうと言われています。
 
なぜでしょうか? 


 
このコンテンツでは唾液が持つ重要な働きについてまとめます。

虫歯を防ぐ唾液 上と下の歯で虫歯になりやすいのはどっち?

虫歯菌が糖分をえさにして酸を発生させ、その酸が歯を溶かして虫歯を作るのはよく知られています。
 
歯のカルシウムは、ペーハーが5.5以下になると溶解し始めます(脱灰)。
 
唾液にはこの酸性に傾いた口内を中和する緩衝能力があります。つまり唾液は歯の溶解を防いでいるわけです。
 

 
さらに唾液は口中に溶け出したカルシウムやリンを再び歯の組織に送り込んで歯の表面を修復する能力もあります。いわゆる「再石灰化」という作用です。
 
これにより、軽い溶解であれば歯を治してしまいます。唾液は虫歯を防ぐだけでなく、歯の修復も行っているのです。
 
口の中ではこの脱灰と再石灰化の、いわば「せめぎあい」がずっと続いています。
 
ちなみに上の歯と下の歯で、虫歯になりやすいのは上の歯だと言われています。
 
理由は下の歯は唾液に浸される時間が上よりも長いため、唾液の虫歯予防効果の恩恵を長く受けられるからです。
 
関連して、よだれが多い子供は虫歯になりにくいといわれています。

唾液でわかること 免疫力 ストレス ホルモン量

唾液を調べるとわかることがいろいろあります。
 
唾液は健康を助けるだけでなく、健康度のバロメーターにもなるのです。
 
まず、唾液内のアミラーゼ量を調べることで身体が受けているストレス度がわかります。ストレスを受けると唾液内のアミラーゼ量が増えるのです。
 

 
ジェットコースターに乗る前に唾液内のアミラーゼを量り、乗った後と比較すると、
 
・ジェットコースターが好きな人(絶叫系のスリルが快感になる人)はアミラーゼ量が低下
 
・苦手な人(絶叫系がストレスになる人)はアミラーゼ量が増加

 
したという実験結果もあります。
 
また唾液内の免疫グロブリンA(sIgA)という値を調べると、身体の免疫力の強さがわかります。
 
「適度な運動を続けると免疫力が上がる」とよく言われるように、定期的に運動をしている人の唾液内sIgA値は運動をしていない人よりも高いのです。
 
一方で、激しい運動をした直後はsIgA値が下がります。
 
あくまで「適度な」運動を続けることが大事です。
 
最新の技術では唾液を調べることでホルモン濃度を測定することもできるそうです。
 
更年期障害の診察の際などに利用されます。
 
かつてホルモン濃度を調べるには時間と費用がかかりましたが、いまではだいぶ改善されています。