「ナンバ」を広めたのは甲野さんですし、(私も含め)「ナンバについてある程度知っている」人も増えていると考えられます。
 
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しかし!
ナンバの知識として
 
「昔の日本人はナンバ歩きだった」
「江戸時代の人々はナンバ歩きだった」
 
と覚えていませんか?

甲野さんによるとこれは間違いで、江戸時代の人達は職業によって歩き方が違ったそうです。(116ページ)
(もともと日常の歩き方に名前がついていたとは考えられませんし)
 
現在の動作と明らかに違うのは
 
当時は歩く際に手を振らなかった
 
点です。
「手を振らずに歩く」人は、明治30年代の京都の映像にも記録されているそうです。
 
現代では日常生活でナンバ歩きを行っている日本人は皆無と言えますが、場面によっては意識的にナンバで歩くと明らかに楽になるケースがあります。
それは
 
・坂をのぼる
・段差のある階段をのぼる
 
場面です。
 
難しいことは考えずに同じ側の手足を出して歩けばOKです。
 
甲野さんから教わったこの動作を実践することで・・・
 
・坂の多い長崎の佐世保で郵便配達をしている人はこの歩き方でずいぶん楽になった
 
・年配の女性が、家の近くの坂を若い頃よりもずっと楽に登れるようになった

 
という例があるそうです。
 
また、ある山岳救助隊員によると、救助活動の最中に体力を非常に消耗した状態になると、無意識のうちにナンバの動作で歩くことがあるそうです。(83~84ページ)
 
甲野さんの考えについては批判する意見もあるようですが、私は、一度はチェックしてみるべき考え方だと思っています。
 
賛否両論あるのは承知の上で、甲野さんの思想や身体の動かし方をかじってみると、多くの人が何かを得るのではないでしょうか。
 
今回紹介したのは甲野さんの考え方のごく一部です。甲野さんから直接指導を受けるのは難しいとしても、まずは著書などに目を通してみてはいかがでしょう。
 
一見の価値はある、と私は思います。
 
甲野善紀さんの考え 終わり。