「水を三日間飲まないと命を落とす」のはよく知られています。
吉野の金峯山寺に、その常識に真っ向から挑戦する修行があるのをご存じでしょうか?
その名も「四無行(しむぎょう)」。
この過酷極まる修行を達成した塩沼亮潤さんと阿川佐和子さんの対談記事が「週刊文春」にありました。
一部を抜粋して紹介します。(以下敬称略)
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飲まず食わず眠らず…で九日間 足が紫色に どうやって耐える?
「四無行」は無茶の極致のような修行です。
その内容というのが…
阿川 満行なさったあと、少しはゆっくり静養なさったんですか?
(※管理人注:「満行」とは、塩沼さんが千日回峰行という超過酷な修行を完遂させたことを指します。満行したのは、なんと史上二人目です)
塩沼 実は次の年に四無行という修行もやりました。九日間、食べず、飲まず、眠らず、横にならずというものです。
これ、やってみるとわかるんですけどなかなか合理的で、十日間やると死んじゃうんですね。
阿川 どこが合理的なんだ!?ギリギリじゃないですか!
やはりというか、特にキツかったのは「飲まず」だったそうです。
塩沼 特に水を絶つというのは大変です。飲まないと血がドロドロになって血流が悪くなるから、足先が次第に紫色になってくる。
その分、心臓が必死でがんばる。血を巡らそうと、ひっきりなしにドクンドクンいってましたね。水が飲めるなら、もう一週間くらいはいけたと思います。思い起こせば、行に入って十五分後にはもう喉が渇いていましたから。
死の一歩手前のこの苦境をどう耐え抜いたのかというと…
阿川 そのつらさ、苦しさをどうやって宥めてたんですか?
塩沼 諦めるしかないでしょうね(笑)。どうジタバタしたって逃れられるものじゃないですから。
それよりも腹を括って、修行の苦しみに向かっていく、攻めていくという意識。いやだとか早く終えたいとばかり思っていると、心も暗くなるし、なにより身体も弱ってきますよ。
((Amazon・PR)週刊文春 2020年 10/8号108~113ページを参考にしました)
9日間飲まず食わず眠らずでも、塩沼さんは生きています。
「常識」の限界を超える生命力が人間には備わっている、ということでしょうか?
その限界がどこまでか、試してみたいとは全く思いませんが…。
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