眼底とは目の奥、網膜や血管がある部分です。
「眼底検査」というと、網膜剥離や糖尿病の網膜症を連想しがちではないでしょうか。
確かにこれらを調べる手段なのですが、眼底検査は目以外の病気を知る手段でもあります。
様々な病気を調べられる眼底検査
眼は脳に近い場所にあるため、眼底を検査すると脳の異常を発見することがあります。
網膜が出血している場合、くも膜下出血、脳出血、高血圧脳症の可能性があるのです。
眼球を作っているガラス体という組織に出血が認められる場合も、くも膜下出血が疑われます。
また出血していなくとも、網膜の動脈が硬化していると脳出血の前兆と言われています。
眼底には血管や神経が集まっている乳頭という部分があります。ここが充血する「うっ血乳頭」は、脳腫瘍が主な原因で発生します。
腫瘍が大きくなって頭蓋の内圧が高まるとうっ血乳頭を引き起こすのです。
乳頭を観察することで脳腫瘍の有無を知ることができるわけです。
また糖尿病だけでなく、高血圧や妊娠中毒といった病気の診断にも眼底検査は役に立ちます。
高血圧では眼底の血管が細くなったり、くびれたりすることがあり、妊娠中毒症では眼底に出血を伴うことがあるのです。
眼底検査でわかることをまとめます。
重篤な病気の兆候を知ることができる眼底出血ですが、痛みなどの自覚症状は感じないケースがほとんどです。
生活習慣病が気になる年代になったら、眼底検査も定期的に受けておくと安心ではないでしょうか。
網膜はく離の前兆・飛蚊(ひぶん)症
眼底部の代表的な疾患に網膜剥離があります。
網膜剥離は、網膜がはがれて視力低下や失明をひき起こす病気です。
網膜剥離は「ボクサーに発症する病気」というイメージがありますが、加齢により誰にでも発症する可能性はあります。
老化によって網膜に裂け目ができ、そこからはがれるのです。
網膜はく離になる前兆として、次のような症状があります。
・まばたきなどをしても影は消えない。
・暗いところでは影が気にならなくなる。
・影がちらついているうちは気になるが、いつの間にか消えてなくなる。
・しばらくすると時には影が2~3個から10個以上再び発生する。
このような症状は「飛蚊症」と呼ばれ、網膜はく離を起こす一歩手前の症状です。
網膜剥離を起こしやすいのは
網膜はく離を起こしやすいのは40歳以上の中高年、強度近視の人、重症のアトピー性皮膚炎の人などです。
該当する人で飛蚊症の症状がある、または光視症(暗いところや目を閉じた状態で視野の隅に光が走る症状)が出る場合、眼科をすぐに受診しましょう。
飛蚊症は生理的な理由や老化現象のひとつとして起こることがありますが、これらの場合はそれほど心配なく、手術なども必要ありません。
しかし網膜剥離による飛蚊症であれば、事態は一刻を争うとも言えます。飛蚊症らしき症状が現れたら、念のため一度眼科を受診しておきましょう。