米国の男性弁護士アンドリュー・スピーカーさんは医師から結核と診断され、感染拡大防止のため旅行などを控えるよう言われました。
 
07年の5月の出来事です。
 
しかしスピーカーさんは警告を無視し、アトランタから飛行機でヨーロッパへ渡り、現地で結婚式を挙げたのです。

その頃検査機関ではスピーカーさんが「XDR結核菌」に感染していることが判明し大騒ぎになっていました。
 
XDR結核菌とは治療薬が全く効かない結核菌で、致死率が高く治療には長期の入院が必要になる非常に危険な結核菌です。
 
感染が拡大したらまさに一大事です。
 
試験管を見つめる女性
 
米保健当局は旅行先のスピーカー氏に「感染しているのはXDR結核菌だ」と伝え、旅先の医療機関に入院し、チャーター便で帰国するよう警告しました。
 
しかしスピーカー氏は飛行機をチャーターする費用が無いことなどを理由にまたもこの警告を無視して旅行を続けます。
 
ここに至り米国疾病対策センター(CDC)がスピーカー氏の実名や顔写真、足取りを全米に公開します。
 
新婚であるスピーカー氏の義父(奥さんの父親)がCDCの職員であったことも報道を過熱させました。
 
航空機登場禁止リストに載っていることを知ったスピーカー氏は一度カナダに空路で渡ります。
 
そして水際で氏を確保するべく設けられていた検問をあっさりすりぬけ、米国に入国してしまいました。
 
スピーカー氏は検問を受けたのですが、検査官が「病気に見えない」という理由で検問を通してしまったといわれています。
 
この事件では感染症リスクに対する米国社会のもろさが浮き彫りにしました。