HIVに関する話題を二つ紹介します。
まずはヒマワリ抽出成分のHIV抑制作用について。
ドイツ・ボン大学の研究者らが、ヒマワリから「HIVウイルスの複製を阻害する物質を抽出した」と06年に発表しました。
同大学のクローディオ農学技師らは、ヒマワリが天候不順の中でも根腐れを起こさないように働く抗体を持っていることに着目しました。
この抗体はDCQAと呼ばれ、HIVの再生産を阻害することが確認されました。しかしまだ細胞実験の段階で、ごく微量しか採取できないため非常に高価なのが難点です。
HIV感染が完治?ポイントまとめ
これはものすごく大きなニュースではないでしょうか。
MSN産経ニュースさん
世界初、HIV感染の新生児が完治 ウイルス消滅と米紙報道
sankei.jp.msn.com/life/news/130304/bdy13030414210000-n1.htm
(現在は閲覧できません)
記事のポイントをまとめます。
■妊娠中に子宮内で感染したと考えられている
■治療薬の大量投与などを施したところ、エイズウイルスの量が急減し、1ヵ月後には検出できなくなった
■治療薬の到達できない体内の部分にウイルスが蓄えられる前に、ウイルスを殺せたのではないかとの仮説が立てられている
この記事では「完治」とありますが、「完治ではない」とする報道もあります。
HIV感染で生まれた乳児の治癒に初めて成功、米チーム
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130304-00000009-jij_afp-int
こちらをまとめるとこんな感じです。
■治療は以下の経過で行われた
新生児への抗レトロウイルス薬投与を生後30時間以内から開始
↓
ウイルス数は徐々に減り、生後29日で検出されなくなった
↓
1歳6か月まで抗レトロウイルス薬を使った治療を継続した後、投与を中止
↓
その10か月後に複数の血液検査を行ったところ、いずれの検査でも陽性の結果は出なかった
■治療チームは「完治」ではなく、あくまでも「機能的な治癒」としている
■新生児に早い段階で抗ウイルス療法を行うことで、体内からウイルスが除去され、潜伏しているウイルスの活動を防ぐことができると考えられる
私がテレビで見たドイツのニュース(もちろん邦訳されたものです)でも、
体内からウイルスが無くなったわけではないが、免疫機能でウイルスの働きを抑制している状態
と解説されていました。
これを「完治」と呼べるかどうかは議論の分かれるところかと思いますが、母子感染した新生児への治療法によってはHIVを抑制できるとわかったのは大きな進歩です。
ひとつ気になるのは、生まれたばかりの赤ちゃんに薬物治療を施して、副作用がどの程度なのかという点です。成長する過程で障害等が出なければ良いのですが。
それが明らかになるにはもう少し時間が必要です。続報を定期的に公開してほしいものです。