日本人に多い
 
胃がん 大腸がん 乳がん

の三つについて、発症リスク要因や発祥しやすいと考えられる人、効果的な検査法をまとめてみました。
 
(このコンテンツは週刊文春 2016年4/7号(Amazon)41~43ページを参考にしています)
 
発症リスクが高いかどうかの参考にしてみて下さい。

胃がん ピロリ菌とABC検診

胃がんリスクを考えるうえでピロリ菌の存在は無視できません。
 
ピロリ菌を調べれば、胃がんリスクがどの程度か、ある程度検討がつきます。
 
最近は、ピロリ菌の感染と胃粘膜の萎縮の有無を調べる「胃がんリスク検診(ABC検診)」も行われています。
 
ピロリ菌感染がなく、胃粘膜の萎縮も無い人はA、感染のみの人はB、感染と萎縮のある人はC、ピロリ菌が住めないほど萎縮が進んだ人はDと評価されます。
 
これまでの研究から、胃がん発生リスクはAに比べBで約5倍、Cで約10倍、Dで約15倍高いことが分かっています。
 

 
高リスクと判断された場合、いわゆる胃カメラを使った内視鏡検査が推奨されます。
 
胃がん検診と言えば、以前はバリウム検査が定番でした。
 
バリウム検査の精度も上がってはいますが、胃粘膜を直接観察できる内視鏡検査のほうが優れているのは明らかです。
 
そのため、現在では内視鏡検査が勧められています。

大腸がん リスクの高い人の特徴

近年日本人に大腸がんが増えています。国立がん研究センターの発表でも、近年大腸がんは日本人の死因の上位が定位置になっています。
 
これまでの研究から、大腸がんリスクの高い人には、以下のような特徴があることがわかっています。
 
・大腸がんを患った家族、親戚の多い人
・内視鏡検査でポリープがたくさん見つかった人
・潰瘍性大腸炎やクローン病など大腸が炎症を起こす病気に罹患している

 
これらに該当する場合、特に注意が必要です。
 

 
増えている大腸がんを早期に発見するには、「便採血検査」が推奨されています。
 
これは採取した便の中に血が混じっているかどうかを調べる検査です。欧米の研究では、便採血検査には大腸がん死亡率を16%減らす効果が認められています。
 
仮に千人がこの検査を受けると、そのうち百人が「要精密検査」とされ、その中で数人に大腸がんが見つかります。
 
便採血検査は大腸がんリスクの高い人を限定する検査であり、これで陰性なら無駄な内視鏡検査を受けることがなくなります。
 
遺伝的理由などで大腸がんリスクの高い人や便採血検査で「養成密検査」とされた人は、定期的に内視鏡検査を受けましょう。

乳がん マンモグラフィに疑問符 触診やエコー検査を

先日亡くなった小林麻央さんが罹患したとして、乳がんは大変クローズアップされました。現在では12人に1人が罹患する病気です。
 
乳がんでは、
 
・若いうちに乳がんや卵巣がんになった家族、親戚のいる人 
 
は、遺伝的理由で高リスクと考えられています。
 
遺伝以外のリスク要因は以下のとおりです。
 
・初潮が早かった人、閉経が遅かった人
・出産経験のない人、初産年齢の高い人
・授乳経験の少ない人
・肥満の人
・ホルモン補充療法を5年以上受けた人
 
 
は、疫学調査で乳がんのリスクが高いことがわかっています。
 

 
乳がんを早期発見するにはどんな検査が良いのでしょうか?
 
乳がん検査といえばマンモグラフィが代表的でしたが、ここ数年の欧米の臨床試験では、総死亡率どころか乳がん死亡率すら減らないとする報告が相次いでいます。
 
マンモグラフィの効果に疑問符が付き始めているのです。
 
「20~30代はマンモグラフィを受けるべきではない」と主張する医師もいます。
 
若い人ほど乳腺が発達しているため白色が濃く映り、腫瘍を見つけにくいのです。40代でも乳腺が発達している人は、腫瘍が見逃される可能性があります。
 
さらには、若いほど放射線の影響を受けやすいため、遺伝的に高リスクの人はマンモグラフィ検査を頻繁に受けるとがんを誘発してしまうとの研究もあります。
 
そのため、若い人や乳腺が発達している人はエコー(超音波)による検診が推奨されます。
 
そして何より、最も手軽で大事な検査法として触診が勧められます。
 

 
若い人は、自分で乳房を触って、気になるしこりがあった時に専門医を受診し、エコー検査を受けましょう。
 
偶然見つけるよりも、毎月一回意識的に触るほうが腫瘍が小さいうちに見つかるという研究データもあります。
 
小林麻央さんが乳がんを発見したのも、自身の触診によるものでした。まずは定期的に触ってみて、自分の乳房の健康維持を意識しましょう。