「胃は消化器官である」という主張に異論を唱える人はいないでしょう。
 
口から入った食物を一旦とどめて、胃酸や収縮運動により細かく消化しやすい状態に変化させているのは誰でも知っています。
 


実は胃には、消化以外にも大事な機能があります。このコンテンツではその件についてまとめます。

胃腸を掃除!空腹時の胃の働き「強収縮」

食物が入っていない状態でも、胃は独自の働きをしています。
 
それは「強収縮」と呼ばれる運動です。
 
食事が終わり、胃が全ての消化物を十二指腸に送り出してから70~80分すると、迷走神経という自律神経を経て、あるシグナルが胃に送られます。
 
それは「強い収縮の波を発生させよ!」というシグナルで、対象範囲は胃だけにとどまらず十二指腸から小腸にまで及びます。
 

 
これは「空腹期の強収縮」と呼ばれる現象で、胃から腸の内部を掃除していると考えられています。
 
強い収縮により、食べものの残りカスや古い粘膜をこそぎ落として胃腸の中をキレイにしているのです。
 
このとき腸管のガスが動くのでグゥ~ッとおなかが鳴ります。
 
空腹状態が続くと、強収縮は約90分ごとに起きます。
 
つまり、胃は満腹状態では消化器官として、空腹状態では排泄器官として働いているのです。
 
「断食をすると、何も食べていないのに便が出る」という話は、断食の体験談には必ずと言えるほど出てきます。この便を「宿便」とする主張も多いですね。
 
空腹状態を続ける断食は、胃腸の掃除をひたすら続けている、とも言えるでしょう。

夜に多い強収縮 夜食を食べると…

強収縮は夜に起きやすいことがわかっています。
 
睡眠中に複数回発生する強収縮により胃の中をすっきり掃除したら、朝起きて便として排泄する、というわけです。
 

 
よって、間食をしたり、寝る前に何か食べると胃が空にならないので強収縮=胃腸の掃除ができなくなります。
 
間食や夜食というと「太る」イメージが強いですが、同時に「胃腸の掃除もおろそかになる」とも意識するべきでしょう。
 
また、ストレスを受けていると自律神経が本来の働きをせず、強収縮が起きないこともあります。ストレスは排泄も妨げるのです。
 
そしてこれもよく知られているように、夜食は睡眠の質を悪くします。
 
東北大学の本郷道夫名誉教授は「お腹の働きと、いい睡眠は密接につながっています。そのカギは、胃を空にして寝ること」と語っています。
 
夜食の誘惑を断ち切るのは大変ですが、やはり体に良くないのは間違いないようです。
 
この記事は日経Health2012年08月号(Amazon)114~115ページを参考にしました。