血管を柔らかくする(硬くする)運動

突然ですが、血管を柔らかくする食べ物は?と聞かれて、即答できるでしょうか?
 
 
私はすぐには思いつきません。
 
「血流を促す」「ナトリウムを排出する」とされる食べ物が、間接的に「柔らかくする」に通じるような気もしますが、血管のアンチエイジングにダイレクトに効果のある食材、という話はあまり聞かないのです。
 
 
対して、「血管を若返らせるにはこの運動をしましょう!」といった主張はしばしば目にします。
 
血管を柔らかくするには、食べ物よりも運動を意識するほうが情報も多く、選択肢も増えるといって間違いなさそうです。
 
 
それでは、どんな運動が良いのでしょうか?
 

まず、最初に挙げられるのは
 
 
有酸素運動です。
 
 
持久力を高める、有酸素性のトレーニングをしているマラソンや長距離走などのアスリートは動脈硬化度が低いことがわかっています。
 
 
若年者に2ヵ月ほど有酸素運動を続けてもらった実験では、もともと血管が柔らかい若者でも、2ヵ月後は血管がさらに柔らかくなりました。
 
 
ただし、運動をやめてしまうと、1ヵ月後には血管の硬さが運動前の状態にもどってしまいました。継続が大事なわけです。
 
若者だけでなく、もちろん高齢者も自転車こぎ・ウォーキングといった有酸素運動で血管が柔らかくなります。肥満であっても同様です。
 

 
それでは、有酸素運動に対して筋トレ(無酸素運動)はどうでしょうか?
 
 
結論から言いますと、高強度の筋トレは硬くするそうです。
 
(筋トレでもやり方によっては動脈硬化予防に効果があるとする論文もあり、まだ研究余地はありますが)
 
 
陸上競技の投てきなど、高強度の筋トレを行っているアスリートは、若年であっても同世代の人と比べると動脈が硬くなっています。
 
またボディビルダーのように激しい筋トレをしている人は動脈が硬いことがわかっています。
 
高強度の筋トレをすると、2ヵ月ほどで動脈が硬くなります。
 
ただし有酸素運動の場合と同じように、トレーニングをやめると血管の柔らかさは元に戻りました。
 
 
中強度の筋トレであれば、血管の硬化は見られません。
 
 
有酸素運動が血管を柔らかくするのは、
 
 
・運動により産生されるNO(一酸化窒素)が血管平滑筋に働きかけ、柔らかくする
 
・動脈硬化を促進させるエンドセリンという物質の発生を抑制する
 
 
と、主に二つの理由があります。
 
アメリカでは中等度の有酸素運動を1日30分、毎日行うよう推奨されています。ここでの中等度とは、息が切れるくらいのややきつめの運動(最大心拍数の70~80%)です。
 
 
これは厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」でいわれていることとも一致しています。
 
 
ウォーキングの具体的なやり方の一例を紹介します。

・ゆっくりしたペースで歩き始める
・5分くらいかけて徐々にペースを上げていく
・「ちょっときついな」と感じるペースまで上げる
・そのペースをキープして30~35分間歩く
・最後に5分くらいかけて徐々にペースを落とす
・目的地に着いたらすぐに止まらず、周辺をゆっくり歩く

以上で40~45分程度のウォーキングになります。
 
 
前田教授の調査によると、運動頻度は週に3回以上は必要だという結果が出ているそうです。毎日キッチリやる必要はありませんが、1日おきくらいの習慣にはしたいものです。
 
血管年齢ビックリ若返り!最新最強血管パワーアップドリル―高血圧・糖尿病 高脂血が続々正常化!(レビューあります!)
血管年齢ビックリ若返り!最新最強血管パワーアップドリル―高血圧・糖尿病 高脂血が続々正常化! (わかさ夢MOOK 18)
 
基本的に体を動かせば動かすほど動脈硬化の抑制効果があるわけですが、その効果には上限があります。
 
中年および65~74歳の高齢者の場合、1日あたり300kcal程度の活動量で頭打ちになります。(300kcalの活動量は60kgの男性が8000~1万歩歩いた時の消費エネルギーです)
 
 
年をとると、その上限が下がります。75歳以上では200kcalくらいで頭打ちになるのです。
 
 
弱めの活動であっても、動脈硬化予防効果が期待できる、というわけです。散歩や家事などでこまめに体を動かすのが大事なのがわかります。
 
 
前田教授の研究結果を二つ紹介します。

ケースその1
1回40分の自転車こぎを週3~5日、3ヵ月間継続
 
中高齢女性Aさん(62歳)
運動前血管年齢85歳が3ヵ月後には69歳に(-16歳)
 
中高年女性Bさん(65歳)
運動前血管年齢66歳が3ヵ月後には53歳に(-13歳)
 
 
ケースその2
1回約1時間のストレッチとウォーキングを週2~3回 3ヵ月間継続
 
肥満のCさん(39歳)
運動前血管年齢64歳が3ヵ月後には38歳に(-26歳!)
 
肥満のDさん(62歳)
運動前血管年齢71歳が3ヵ月後には34歳に(-37歳!)

ストレッチを併用すると、効果がグッと高まることがわかります。
 
 
ストレッチに関しては、以前のメルマガで記事にしています。
 
その記事を引用↓

血管を若返らせるために、ストレッチするべき箇所としては
 
太もも前面の筋肉
お尻の筋肉
お腹の筋肉

 
に加え、
 
肩の筋肉
ふくらはぎの筋肉
ハムストリングス

 
 
まで伸ばせればバッチリです。
 
脚を前方に伸ばして座り、手がつま先に届かないと動脈硬化が進んでいる可能性があります。
(ただしこの目安は、40歳以上の人に限り適用できます)

こまめに体を動かし、機会を見つけて歩く、という基本に加え、寝る前のストレッチあたりを始めてみてはいかがでしょうか。
 
 
日本人の死因の2位(心疾患)と4位(脳血管疾患)は動脈硬化によるもの。寝たきりの25~40%は脳血管疾患が原因だそうです。
 
 
「アンチエイジング」というと、見た目ばかりが強調されています。
もちろんそれも大事ですが、より重要な血管のアンチエイジングも意識する必要があるのではないでしょうか。
 
 
栄養と料理 2014年 07月号
栄養と料理 2014年 07月号
 
このコンテンツは雑誌「栄養と料理」2014年7月号96~101ページを参考にしました。
 

コメントを残す