厚生労働省の統計によると、脳卒中(脳梗塞 脳出血 くも膜下出血)の患者は約137万人、年間の死者は約13万人に上ります。(このコンテンツは2010年に作成しています)
 
脳卒中は日本人の死因第3位なのだそうです。
 

 
死亡や体の障害につながる脳卒中ですが、予兆・初期症状が表れた段階で対処できれば、重篤な症状を防ぐことも可能です。

また脳卒中を遠ざける習慣や、脳卒中リスクを下げる要因もいくつかわかっています。
 
以下にまとめますので参考にしてみて下さい。

脳卒中の兆候・初期症状と確認作業

脳卒中の初期症状には次のようなものがあります。

・身体の片側がしびれる
・足がもつれて歩けない
・ろれつが回らない
・人の言うことが一時的に理解できない
・ものが二重に見える
・片目が見えなくなる 視界の一部が見えなくなる
・食べ物が一時的に飲み込めなくなる
・激しい頭痛が起きる

 
脳卒中の予兆らしきものが見られたら、以下の確認作業を行いましょう。
 
・笑顔を作るか、「チーズ」と言ってみる
→表情が左右非対称になったり、頬や口がゆがんだら注意
 
・手の平を上にして両腕を前に伸ばして5つ数える
→片腕が下がったら注意
 
・「今日は良い天気です」などの短い文章を話す
→ろれつが回らないなど、うまく話せなかったら注意
 
以上三つのチェックのうちひとつでも注意すべき項目があったら、すぐに救急車を呼んで「脳卒中のようだ」と伝えましょう。
 
本人が痛みなどを訴えていなくても、一刻を争う深刻な状態です。迅速な行動が必要になります。
 

 
以下の項目に当てはまるなら、脳卒中を起こしやすいので注意が必要です。

・血圧が高い
・タバコを吸う
・飲酒量が多い
・血糖値やコレステロール値が高い
・家族や親戚に脳卒中になった人がいる
・60歳以上である

 
血圧、血糖値、コレステロール値も全て正常であっても、不整脈があると脳卒中を起こすケースがあります。
 
寒い季節には脳卒中が起きやすくなります。これからまだしばらくは寒さが続くので、上記の「脳卒中を起こしやすい」要素に心当たりがあるなら、特に注意が必要です。
 
ちなみに寒い時期の脳卒中発症率は暑い時期の1.5倍になり、排便中にいきむと血圧が上がるため、くも膜下出血の20%は用便中におきているそうです。

身体が柔らかい人は血管も柔らかくなる

国立栄養研究所の調査では、身体が柔らかい人は、血管も柔らかい傾向があるそうです。
 
逆に言うと「身体が硬い人は、血管も硬い(血管年齢が高い)」ということになります。この傾向は40歳以上になると特に強くなります。
 
同研究所の調査結果から、身体が硬い人の血管年齢は、柔らかい人よりも
 
・中年層(40~59歳)で約5歳、
・老年層(60~80歳)で約10歳

 
高いことがわかりました。
 

 
ここで体の柔らかさの判断は、立った状態から前屈して・・・
 
・膝まで手が届く  硬い
・手が足首に届く  やや硬い
・指先が地面に届く  標準
・こぶしが地面に届く  やや柔らかい
・手のひらが地面に届く  柔らかい

 
・・・を目安にしています。
 
体の柔軟性と血管の質が関連している理由はまだよくわかっていませんが、身体の硬さと血管の硬さが比例する傾向にあるのは間違いないようです。
 
ストレッチをすることは血管年齢を若くする、つまり脳卒中や心筋梗塞を予防する作用が期待できそうです。この件は根拠がいまいちあやふやなので、今後もアンテナを張っておこうと思います。
 
(追記)
ストレッチで血管が柔らかくなる(若返る)理由がわかりました!関連記事をご覧ください。

脳卒中予防のための10ヶ条

脳卒中は、長い間日本人の死因第一位の座を占めていましたが、近年治療薬や治療法が進歩したことから、死亡率が低下しています。
 
現在日本人の死因第一位はがん、二位は心臓疾患、そして三位は脳卒中となっています。
 
脳卒中の中でも、症状によって傾向があります。
 
脳出血による死亡者数は減少している一方、脳梗塞による死者は年々増加傾向にあるのです。
 

 
また脳梗塞は入院受療率(治療を受けている人の割合)も高く、入院原因の二位を占める疾患でもあります。
 
脳梗塞を治療するための技術や薬は年々進歩していますが、脳梗塞になるとほとんどのケースで後遺症が残るため、予防するに越したことはありません。
 
脳梗塞含む脳卒中の予防は、生活習慣病の予防とほとんど同義です。
 
日本脳卒中協会が作成した、「脳卒中予防10ヶ条」を紹介します。

1 手始めに高血圧から治しましょう
2 糖尿病放っておいたら悔い残る
3 不整脈見つかり次第すぐ受診
4 予防にはタバコを止める意志を持て
5 アルコール控えめは薬 過ぎれば毒
6 高すぎるコレステロールも見逃すな
7 お食事の塩分・脂肪控えめに
8 体力に合った運動続けよう
9 万病の引き金になる太りすぎ
10 脳卒中起きたらすぐに病院へ

 
いずれもどこかで目にしたことのある内容ばかりですが、それだけ大事なことなので、もう一度自分の生活習慣をチェックしてみましょう。

脳卒中予防には塩分減らす・たんぱく質増やす

塩分をとりすぎると脳卒中リスクが高まるのは、いまでは常識になっています。
 
ネットで「脳卒中 塩分」と検索してみると、上位のサイトには例外なく「脳卒中予防のために塩分を控えましょう」との記述があります。
 
一方で、塩分に比べると指摘される機会は少ないようですが、脳卒中の発症にはたんぱく質の摂取量も関係しています。
 

 
たんぱく質の重要性は、ラットを使った実験で判明しています。
 
ラットに食塩を与える際、低たんぱく食で与えるとラットは100%脳卒中にかかりました。一方、高たんぱく食で食塩を与えると血圧は高くなったものの脳卒中にはかからなかったのです。
 
さらに食塩を与えず低たんぱく食にするだけでも80%のラットが脳卒中を発症したのです。食塩なし・高たんぱく食では発症しませんでした。
 
1990年代に東京都の老人総合研究所が秋田県の高齢者を対象に行った調査では、お年寄りたちの脂肪、たんぱく質摂取量が多くなると、脳卒中は次第に減ることがわかっています。
 
以上の結果から、脳卒中を防ぐポイントは「塩分は控えめ、たんぱく質は不足しないように」ということになりそうです。
 
しかし、「脳卒中 食塩」でネット検索して上位表示されるサイトで、「脳卒中予防にたんぱく質をとるのは有効である」と詳しく述べているコンテンツは見当たりませんでした(06年6月時点)。
 
食塩のとりすぎに注意するのはもちろん、たんぱく質が足りているかも気をつけるべきではないでしょうか。

脳卒中・認知症リスクと歩く速度・握力

このサイトや私のメルマガ(配信停止しています)で「握力と生命力云々・・・」と、ややマニアックな内容を何度かお知らせしています。
 
この件に関連する記事が、2012年3月13日の九州スポーツ新聞「医メール情報局」で紹介されていました。歩く速さおよび握力と認知症のリスクは関係があるそうです。
 
記事のポイントをまとめます。

■米国ボストン医療センターの研究グループが、平均年齢62歳の男女2400人以上にウォーキングのスピードと握力検査を実施
 
■約11年間の追跡期間を経て、認知症や脳卒中の発現率を調べたところ、34人が認知症を発症し、70人が脳卒中になった
 
■中年期に歩行スピードが比較的遅かった人は、速かった人に比べて1.5倍認知症にかかりやすかった
 
■握力の強かった人は65歳以上の時点で、42%も脳卒中になりにくかった
 
■65歳以下ではこうした傾向は見られなかった

 
なかなか興味深い研究結果だと思いませんか?
 

 
元気な年配の方を「シャキシャキ歩く」などと形容することがありますね。この研究からすると、「シャキシャキ歩くから元気になる」ように思えます。
 
ちなみに私も、買い物などで歩く時は歩幅を広く、かつ速く歩きます。その際は、足の指で地面をつかむよう意識しています。
 
ただ歩くだけよりも運動量がグッと増えるので、目的地に着いたら軽く息が上がり、脚がだるくなることも。
 
手でも足でも、「握る力」は生命力との関連がありそうだなぁ、との思いがますます強くなりました。